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新しい家族

「イリヤ様は本当にかわいいですねー。」

「せえすーあうわー」


 この、俺を抱きながら話しかけてるのが、昼間によく俺の世話をしているメイドのセレス・アルフォンスだ。貴族家の三女らしい。赤ちゃんが好きなのか、いつも頬ずりをしてくる。セレスはかわいいので、前世の記憶がある俺には、ちょっとした羞恥プレイみたいなものだ。セレスは、エメラルドのような綺麗な緑色の髪に、同じ色の透き通った瞳をしていて、おっとりした雰囲気の十七歳くらいの女の子だ。


「ふふっセレスは本当にイリヤが好きねー」

「はうあっ!お、奥様!も、申し訳ありません!」


 今いきなり部屋に入ってきて、セレスを驚かせたのは、俺の母親で、第二王妃の、アリアーナ・アベル・ロン・フェルミーナだ。何を話しているのかわかるようになって、どんな人かわかるようになった。いつも優しく落ち着いていて、本当に大和撫子を体現している、今もセレスの反応を優しく微笑んで見つめている。

 でも、こんな優しい人だが、元は冒険者だしい。そこで、俺の父親とパーティーになり、恋仲になり結婚したそうだ。

 うちの父親が、国王なのになぜ冒険者をやっていたかというと、この国の王家の方針で、自分の身は、自分で守れるようになるために、第一王子は、十五歳から何年間か、冒険者をするそうだ。ほかの王子はその能力にあったことをするそうだ。冒険者になるものも多いらしい。

 

「別にいいのよー。うちの子をそこまで可愛がってくれるのは、親としても嬉しいことだからねー。それに、いつも言ってるけど、そんなにかしこまらなくてもいいのよ?」

「そんな訳にはまいりません!奥様ですから!」

「ふふっほんと真面目ねー。」

「あうー」


 俺はセレスにセレスに笑いかけ手を伸ばしながら、そう声を出す。赤ちゃんがいつからしゃべるのか、分からないから、いつ言葉を話すか少し悩んでるところだ。ほんと、ただでさえ、神に面倒なこと押し付けられてるのに、目立って面倒なことは増やしたくない...。


「まあ!ほんとイリヤはかわいいわぁ。そうそう今日はね、イリヤが一歳になったことだし、みんなに紹介しようと思って、来てもらってるのよ。」

「そういえば、一歳になったら来ることができるようになるんですね...。みなさん、イリヤ様にメロメロになるでしょうね。」

「ほんとあなたは、イリヤが大好きねー。」


 なんか誰かが来るらしいが、みんなって誰のことなんだろう?まあもう来るらしいから、すぐに分かるか。


「アリア。来て差し上げましたわよ!」

「あらシャルちゃん、またそんな言い方して~。あんな楽しみだって言ってたのに、ほんと照れ屋さんね~。」

「そ、そんなことありませんわ!な、何を言ってるのよ!」

「あらあら~。」


 今、図星を着かれ、赤面しているのが、シャルロッテ・アベル・ロン・フェルミーナ。この国の第一王妃…正妻だ。元エルメス帝国の第三王女で、政略結婚だったそうだ。この国の王族は、政略結婚は、政略結婚することを認めた人だけがするらしく、強制でないのは、昔何かあったらしい。それは良いとして、うちの父親が政略結婚することを認めた理由が、シャルロッテが気が強いのが、恥ずかしがり屋だからと気づき可愛く思えたのと、こういう性格の嫁がいるのも面白そうだったかららしい。父さん、見た目と中身が違いすぎるだろう…。

 まあ、今はそれは良いとして、シャルロッテは、燃えるような赤い長髪を縦ロールにしている。そして、深紅という言葉が似合う紅い大きな瞳。気が強そうな顔立ちだが、とても可愛い。綺麗ではなく、可愛いだ。年は、まだ16歳位に見える(後で聞いたことだが、25歳だったらしい全然そうは見えないけど…)。ツンとした雰囲気で、ツンデレという言葉が似合いそうな美少女だ(少女ではないが…)。力を込めると、壊れそうな華奢な体をしている。胸は…察しろ。

 

そして、もう一人は、ローラ・アベル・ロン・フェルミーナ この国の第三王妃で、うちの母さんと父親と同じパーティーだったらしい。ローラは、光り輝いているような金色のウェーブのかかったロングで、サファイアのような透き通った青い瞳、全体的にむちっとした体つきをしていて、胸の強調が激しい。妖艶と言う言葉が似合いそうだ。しかし、ほわほわとした雰囲気なので、打ち消されている。


「ふふっ二人ともよく来てくれたわ。やっとイリヤをお披露目できるわ。」

「私も楽しみでしたよ~。一歳まで見れないなんて、面倒な決まりですよね~」

「ええ、ほんとにね。」


何のことを言っているのかというと、昔、王族が赤ちゃんの頃に殺され、王妃が会いに行った後に死んでいるのが見付かったので、その王妃が疑われたらしい。それからはそんなことにならないように、一歳になるまでは、親と側付きのメイド以外、会うことが禁止されているらしい。


「確かに、可愛いですね~。これは、将来、アルに似て格好良くなりそうですね~。」

「ええ。この子の将来が楽しみなのよ。」

「確かに可愛いですわ 。」


 ローラさんは頬に手を当てながら俺のことを褒め、母さんとシャルロッテさんはそれに乗るように褒めてきた。

 褒められてるけど、中身は高校生なんだよなー。なんか気恥ずかしいなぁ。

 まだなんか言ってるけど、それよりドアのところから除いてる子が、めちゃくちゃ気になる。


「あ、そうですわ!ロザリーをイリヤに紹介するわ!入ってらっしゃい!」

「う、うん」

「ロザリーちゃんを連れてきてたのね。」

「そうよ。ロザリーにとって初めての弟だし、年も一番近いんですのよ!」

「じゃあイリヤを紹介しないとね。この子がイリヤよ。仲良くしてあげてね?」

「うん!」


ロザリーが部屋に入ってくると、母さんはロザリーに見えるように近づいてしゃがんだ。


「うわーかわいい…」


ロザリーが俺を見て、そう呟いた。赤ちゃんを見たことが初めてなのだろう、目をキラキラさせて興味津々だ。それを見ていると微笑ましく思える。…外見は俺の方が小さいが…。


「ふふっそうでしょ?暇な時には、遊びに来てイリヤと遊んであげてね。」

「うん!」


そんな事言った後、母さんは王妃たちと雑談にもどった。その間、俺はロザリーを観察したり、ロザリーが俺に話しかけたりして来たので、名前を読んで喜ばしたりしていた。

そのロザリーについてだが、ロザリーは第一王妃のシャルロッテの娘で、ロザリー・アベル・ロン・フェルミーナと言い、この国の第二王女だ。年は、今二歳でもうすぐ三歳になるらしい。容姿は、深紅のクセのない長髪に空色の瞳で対照的なのが印象的だ。全体的に整っていて可愛らしいので絶対に美少女になるだろう。雰囲気は、シャルロッテとは違って、気弱そうな感じだ。


「じゃあ今日はもう帰るわ~。」

「ロザリーの『魔力の儀』が終わったら、報告に来ますわ。」

「わかったわ。…ロザリーちゃん魔力の儀頑張ってね。」

「うん、。またいりやにあいにくる。」

「ろあいーあんあってー」


俺は最後にロザリーに声をかけておいた。そうすると、ロザリーはパアっと花のように笑ってくれたので、言ってよかった。

それで、『魔力の儀』というのは、魔力を使えるようにし、その後自分の属性を調べることのようだ。魔力を使えるようにするというのは、魔力は魂に宿っていて、三歳までは魂の殻の中に閉じ込められているらしい。それを、『魔力の儀』で解放するらしい。

俺も、最初から使えたなら、もう練習を始めたかったんだけどな…。


 今日のことを色々考えているうちに俺の意識は闇に落ちていった…。

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