委員会勧誘(2)
学生の人はもう春休みに入ってすよね!
春休みは宿題も少なくて楽しい休みですよね(^▽^)/
受験生も受験が終わって一段落って時期かな?
て、ことで暇な時間を俺の小説を読んで過ごしてください( ´艸`)
登校すると、教室は雑然とした雰囲気に包まれていた。教室のそこかしこで小集団ができており雑談に耽っている。
どうしたのだろう、と思いながら席に進むと、エドが手を挙げながら近づいてきた。
「イリヤ!おはよう!」
「おはよう。アーシアとエイナもおはよう」
エドは相変わらず元気だ。エドの横にいたエイナも、小さな声だが「……おはようございます」と挨拶をしてくれた。
少しは改善したが、まだ俺に対して緊張しているエイナに苦笑しながら、軽く手を挙げて応える。
「みんな何か今日は興奮してないか?」
「イリヤ……忘れたのか?今日は委員会勧誘日だぞ?」
「あ、そういや今日だったな。うっかりしてたよ。」
「お前……何か変なとこ抜けてたりするよな。」
「あはは」
エドの呆れ声に笑って誤魔化す。今日は朝の変な視線について考えていて、少し抜けていた。
今日はエドが言う様に『委員会勧誘日』だ。
『委員会』とは、同じ志を持った生徒が集まり、切磋琢磨しながら目標に向かって活動するコミュニティーのことを言う。
俺はそれを聞いて前世のクラブを思い浮かべたものだ。
違うこと挙げるとすれば、実践的なものが多いことだろう。
学園を卒業した後も使える技術的な委員会や実戦経験や実戦技術を鍛える戦闘系委員会の二つに分けられる。
前世のように、大抵の人が将来に役に立てられない委員会は存在していない。
当然だ。この学園は入学テストで一定以上の魔法使いの素質があれば、優劣関係無く無償で入学することができる。
そして、その資金は国民の税から来ている。その税金で教育を受けている学生が国民に利益を還元するのは義務と言ってもよいだろう。
それができないのであれば、学生をやる資格がない。そのため、能力を身に着けることができる委員会以外認められていない。
前に言ったことを覚えているだろうか?
この学園の卒業生はこの国に仕えるか、冒険者として身を立てる(薬師や治療師はほとんどが国に雇われる)。
だが、冒険者に就くものは、学費を全て自分で払わなければならない。(稀にいる他国の学生については当然支払う義務が存在している)
まぁ安定して給料を得られ、名誉も得られる国に仕えることを選ばず、冒険者になるものは稀だ。
よっぽど冒険者に憧れがあるのか、物好き以外、冒険者目指す者はいない。
「イリヤはどこの委員会に入るか決めたか?」
「う~ん。俺は特に決めていないなぁ。当然エドは決めているんだろう?」
「あぁ!俺は魔闘拳闘術委員会だ!」
「やっぱそこだよな。会長も一応そこに入っているらしいし、いいんじゃないか?」
「そうだよな!俺も会長みたいに戦えるようになりたいぜ!」
エドは会長と生徒会委員の模擬戦を思い出しているのか、目をキラキラさせていた。
エドの言う魔闘拳闘術委員会とはその名の通り、魔闘術を用いた拳闘術を研究し、魔闘拳闘術を極めんとする委員会だ。
会長の戦い方は魔闘拳闘術に属する。そのため魔闘拳闘術委員会に入っているらしい。
生徒会に入っているのに他の委員会に入っていいのかって?
正式に入部しているわけではなく特別入部のように扱われるが、生徒会は他の部と兼部することを許可されている。
だが、何があっても優先されるのは生徒会だ。それが出来ない場合、生徒会を強制的に辞めさせられることになる。
「エイナはもう決めているのか?」
「……私は戦うのが好きではないので、魔法薬委員会に入るつもりです…」
エイナの引っ込み思案で臆病な性格からして、戦いに向いていのは自他共に認めることだ。
エイナの言う魔法薬委員会とはその名の通り、魔法薬を研究し、作成する委員会だ。
ポーションとは薬草などからできる治療薬などを作成途中に魔法的処理を行うことで効果を飛躍的に高めた魔法薬のこと言う。そのため使用したと同時に傷が消えるようなものも存在している。
「そうなんだ。エイナに向いていそうだな。応援するよ」
「そうだぜ!エイナは村でも薬草の勉強を頑張っていたからな!俺も応援してるぜ!」
「ボクも応援するよ!」
「……ありがとうございます」
俺達の言葉にエイナは両手をぎゅっと握りしめて嬉しそうに笑っていた。
「アーシアはどこに入るのか決めているのか?」
「う~ん。まだ決めていない、かな。」
「……何でですか?」
エイナはアーシアが所属する委員会を決めていないことが、心底不思議だというように首をちょこんと傾げている。
俺も結構意外に感じている。付き合いは短いが、アーシアは大抵のことをスパッと即決するような性格だと思っていたんだけど。
理由を聞いてみると、確かに、というような内容だった。
各属性の属性魔法委員会に入って、一つの属性だけに傾倒したくないし、魔法を矢とする魔法弓士は人数が少ないため、そこまで身になることは少ないと言った。
アーシアのエルフという様々な魔法に長けた種族特性を生かせないような、単一属性のみを目指すのは勿体ないし、エルフの使う弓は非力な種族が使えるように特別な製法で作られている魔法弓のため、この学園の委員会とは違ってくる。
「アーシアは四属性持ちだから、選びにくいよな。」
「う、うん。まあね。」
アーシアは少し後ろめたそうに肯定した。
まぁ仕方がないだろう。アーシアも俺と同じように隠していることがある。アーシアが入学式の日に落とした|ペンダント≪・・・・・≫はエルフの中の|ある血族の証≪・・・・・・≫だったはずだ。
エルフの一族の中には『樹』と呼ばれる『種族固有魔法』を持つものが稀に産まれる。
そしてその『樹』の属性を持つものは総じて魔力が多く、『精霊』との親和性も高いため『先祖返り』と呼ばれている。その血族から産まれてくる子供には、その特徴が絶対に現れるのだ。
アーシアを魔法で確かめたわけではないが、多分『樹』の属性を持っているはずだ。
まぁそんな血族だと知られれば、騒がれるのは当然だろうから隠したいというのは理解できるので、問いただすつもりはないのだが。
それにそんなことで後ろめたく感じる必要はないと思うのだけど、根が真っ直ぐなのだろう。
なんだか俺が捻くれてるみたいに感じてしまうな。
「で、イリヤはどうなんだよ。」
「——俺も決めてないんだよなぁ」
そうなのだ。俺はまだどの委員会に所属するのか決めていない。
この学園での俺の適性属性は召喚だが、そんな持っているものが稀な属性の委員会があるはずもない。そうすると魔闘術系の委員会か、何か技術系の委員会に入ろうかと考えているのだが。
しかし魔闘術系の委員会は、属性魔法を使用する魔闘術がほとんどだし、無属性なら多分俺の方が研究できている。
とすると技術系の委員会、一択になるんだが、それも少し悩みものだ。
「皆さん席に着いてください!授業を始めます!」
そうして話しているうちに授業の開始時間になっており、先生の一声で生徒たちは話をやめて、慌てて席に着いた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ではこれで今日の授業は終わります。ありがとうございました。」
「「ありがとうございました!」」
今日は委員会勧誘日であり、この授業が終われば、俺達は委員会の先輩方が勧誘する校庭へと向かうことになる。
クラスメイト達は待ちきれないのだろう、忙しなく授業の道具を鞄に片づけている。
パンっパンっ教師が手を叩き、生徒の注目を集める。生徒も素直に動くのをやめて席に着く。
「皆さん。楽しみなのはわかりますが、浮かれすぎないようにしてください。毎年、浮かれすぎた生徒が怪我をしたり、他の生徒と問題を起こすという事例があります。
ですので、皆さん。節度ある行動をお願いしますね。」
「「はーい!」」
「では、片付けが終わったのであれば、もう向かってもいいですよ。」
教師の言葉に生徒の動きも落ち着いたが、続いた次の言葉にじっとしていられなくなった生徒が、「行ってきまーす」といいながら、急ぎ足で出ていった。
教師もそれくらいなら毎年のことのようで、微笑ましそうに見ていた。
俺は特に慌てる必要も感じないし、廊下が混んでいる間に出ていくのは遠慮したいので、ゆっくりと片づけを行う。
そうしていると、不意に俺の机を影が差した。
顔を上げてみると、そこには準備を終えたエドが、待ちきれないと言った様子でウズウズしている。
エイナはエドを止めようと服の裾を引っ張っているが、その眼には期待の色が見え、ソワソワしてるのを隠しきれていない。
俺は仕方がないとばかりに、一度髪をかき上げて、立ち上がった。
「早く行こうぜ!イリヤ!」
「そう急かすなって。今行っても廊下が混んでいて、動きにくいと思うぞ」
「えーなんでだよー」
俺の言葉にエドは隠しもせずに不満そうにしているし、エイナも落胆を隠しきれないようだ。
――そこまで早く行きたいのならついていくか
俺は二人の様子に苦笑を浮かべて、「行くか」と声を掛けると、二人とも一気に笑顔になった。
「アーシア!一緒に周らないか?」
「うん!ボクからもお願いするよ!」
俺は俺たちの様子を見ていたアーシアにも声を掛けると、すぐに俺たちのもとに向かってくる。
俺たちが話している間に、周りも落ち着き廊下の混みも先ほどよりは収まっている。
俺たちが教室を出ると、ドアの横にエステルが立って控えていた。
「イリヤ様。ご友人方、私もご一緒させていただいてもよろしいでしょうか」
「俺は当然いいさ。俺も誘うつもりだったしな。」
エド達もエステルを歓迎してくれたので、5人で向かうことになった。
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