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生徒会長は戦闘狂(1)

遅くなりました!m(__)m

今回は先週がテスト期間だったので言い訳してもいいですよね?( ´∀` )


 今から、会長と試合…とはならず、元の予定通りに生徒会の先輩による模擬戦を見ることとなった。

 

 会長はやる気満々だったんだけど、教師が止めに入った。今回の趣旨は自分たちの先輩の魔法の腕を見て、自分たちが目指す所を明確に定めさせるのが目的だ。それなのに、俺が出ていては意味がないということで試合は後にすることになった。…そう、試合はどちらにしろしなければならないことには変わりはないのだ。俺は先生が止めに入ってくれたから、試合はしなくていいと安心したのもつかの間、会長がすごく不満そうにしてたことで、放課後であれば訓練場を使うことができるという先生の言葉により、放課後にすることになった。

 

 いや、当然俺も反対したよ。そんなのしたくないって、まぁ認められなかったけど。「私は何だ?…そう生徒会長だ。この学園の生徒で最も偉いんだ。…同意も無しに許可をとれるかって?いつも頑張ってるんだから、これくらいの我儘先生も許しくれるさ。」という、権力の濫用をしてきた。「それに、君の正体を話してもいいのかい?」という脅し付きで。さすがに、平穏な学園生活を崩されるのは困るし、そこまでして拒むことでもないので了承したというわけだ。


「にしても、イリヤって強かったんだな!」

「まぁ子供のころから教育を受けてきたからな。」

「すげぇな!」


 隣に座っているエドが、無邪気に笑う。ニコラスとの決闘の後、エドだけじゃなくてクラスメイトにもいろいろ聞かれた。どうしてそんなに魔法を使えるのか、とかどうやって魔法の勉強をしのたのかとか。俺の偽設定は商家の跡取り息子だ。だから、冒険者を雇って色々教えてもらって、訓練を頑張ったってことにしておいた。

 そうすると次は、魔法を教えてほしいという話になり、俺も時間がある時なら魔法を教えることに否はないので、快く了承した。


「俺も村にいた人に教えてもらったんだけど、そんなにうまく使えないんだよなぁ。」

「いやそんなに落ち込むなよ。それを勉強すために学園に来てるんだから。」

「そうだよな!俺も頑張ってイリヤに追いつくぜ。」

「楽しみにしてるよ。」


 エドは自分で話しながら落ち込んでいったが、俺が慰めるとすぐに元気になった。感情の変化が激しい奴だ。俺はその反応に苦笑しながら、本音で返した。


「でも俺ってそんなに魔力が多くないんだよなぁ。それに体を動かす方が好きだしよ。」


 だがエドは憂鬱そうにそう話した。この世界で魔法使いになりたいわけではなくても、そっちの道に進まなければならないことは珍しいことではない。なぜなら、この世界では魔法使いの素質、つまり属性に適性を持っていることは貴重だ。そうすると、魔法使いは常に戦闘だけでなく普通の職業でも必要とされることが多い。つまり常に需要に供給が足りていないのだ。そのため、魔法使いに支払われる賃金は、非魔法使いに比べて格段に多くなる。そうすると農家の複数いる子供のうちの一人などなら、魔法使いを目指すことを強制させられることが少なくないのだ。エドもそういう子供たちの中の一人だろう。


「なら魔闘術を習えばいい。幸い学園は授業は選択制で、確か魔闘術の授業もあったはずだしな。」

「魔闘術?村の先生もそんなこと言ってた気もするけどそれって何なんだ?」

「エドの適性は風で良かったよな?…具体的に説明するとだな…拳に風を纏わせて相手を吹き飛ばしたり、体に纏わせて相手の攻撃を逸らしたりする、とかがあるな。」

「おぉ!」


 俺はエドに魔闘術を提案してみると、エドは目をキラキラさせて興味津々といった様子だ。魔闘術とは属性魔法を体や武器に纏わせて近接戦闘を行うことを言う。魔力を使った身体強化を武術に取り入れているところは多いが、使えるものが限られる魔闘術を教えているところは意外と少ない。そのため、冒険者や騎士でなければ知っていないことも多い。(一般人では魔法を使う人は魔法使いで一括りにされている)

 まぁこれは置いといて、魔闘術の特徴として魔法を最小限に、そして武術の威力とを合わせるため、少ない魔力で高い威力を出すことができる。それだけを聞くと、メリットしかないように思えるだろうが、無視ができないデメリットが存在する。それは、素早い魔力操作に、武術にも精通していることだ。

 俺が魔法を習うときに説明したと思うが、達人の域の魔法剣士は少ない。それは、戦闘を行いながら魔法を発動させる難しさ、武術を高いレベルで収めていることが必要だ。そうすると、両方を並行して訓練する必要があるわけだが、言うは易く行うは難し、だ。まぁ魔闘術を使った戦闘と魔法剣士等とは少し違うのだが今は置いておく。

 と、こんなことをエドに説明したのだが、エドは乗り気みたいだ。聞いてみると、エドの実家は農家ではなく無手の武術を教えている道場を開いているらしく、武術自体はそこそこできるらしい。


「それにしても、あの魔法って無属性だよね?…ならイリヤって魔力総量多いんだね。それに魔力操作も巧いんだね!」

「属性が召喚だし、それに普通の魔法を使おうと思ったら、無属性しかないから魔力操作の訓練は相当したよ。」

「そうだとしても凄いよ。ボクはエルフだから魔力は多い方だけどイリヤには勝てそうにないし…。」


 エドとの話が一段落すると、アーシアが興味津々に聞いてきた。まぁそこが気になるのは当然だろう。無属性魔法の特徴は使用する魔力に比べて、威力が低いことが一番に挙げられる。だが、俺が使った魔力弾はニコラスのファイアーボールを相殺していた。そこからわかることはニコラス以上に魔力を消費したということだ。しかし、ニコラスが魔力が底を着いたことで息も絶え絶えになっているのに対し、俺はどこからどうみても魔力を消費したようには見えない。ということは、あれくらいの魔力消費は俺の魔力総量の微々たるものだということだ。

 他人の魔力量を測る方法は行動から測る方法以外にも存在し、それは感覚に左右されるため慣れや生まれつきのものに左右される。そしてエルフは身体能力が非力ではあるが、それに余りあるほどの魔力量と属性適性が存在している。そのため他人の魔力量を測ることは造作もないことだ。まぁ俺は隠蔽をしているので本当の魔力量までは見破られていないだろうが…。もし見破られていたら挙動不審になるだろう魔力量を俺は持っているからな。一応言っておくと俺は空間魔法の応用で他人の魔力量を視ることもできる。


『ねぇ決闘が終わったのなら私も出してよぉ』

『ん?まぁいいか。』

『ありがとう!』


 気になっているけど話しかけられないという雰囲気のエイナも交えて、アーシアたちと話していると、不満そうな感情を滲ませながら、ローズが話しかけてきた。ローズは人懐っこいといえばいいのかな?人にかまって貰うのが大好きで、こういう場所で仲間外れは嫌なのだろう。

 ローズは授業と授業の間の時間とかに召喚しているので、今召喚したとしても、周りを驚かせるようなこともないので召喚してもいいだろう。当然、はじめて召喚した時の周りの反応は驚愕からのローズの愛らしさに胸を打たれる人が続出して、もみくちゃにされた。まぁローズは普通に愛くるしいから、愛でたくもなるだろう。


召喚ジェネレイト---不死鳥 ローズ」

「キュイー」

「…可愛いなぁ」

「…撫でるか?」

「うん!ありがとう!」


 魔力を練ってローズを召喚する。ローズを召喚すると、エドの方から声が聞こえてきた…エイナだ。ローズを召喚しているとき一番変わるのはエイナだ。エイナは普段はエドの後ろに隠れているのだけど、ローズを召喚すると、ローズを撫でるために自分から近付いてくるのだ。

 俺も仲良くなるチャンスを無駄にするつもりはないので、ローズを一緒に撫でさせてあげる。すると、エイナは普段は恥ずかしがって怯えているような表情をしているのだが、この時は花が咲くように満面の笑顔になる。ローズを撫でている間は、話しかけても普通に返してくれるので、俺とアーシアは仲良くなるために色々と話題を振って仲良くなる努力をしている。


「エイナは魔法はエドより得意なのか?」

「うん。…私はエドみたいに運動が好きなわけじゃないから、魔法は好き。」

「ねぇそれならボクと一緒に魔法を練習しようよ!」

「うん!」


 アーシアはエイナと魔法の練習をする約束を取り付けたようだが、ローズがいない時だと苦労するだろうな…。まぁそれでも折角の仲良くなるチャンスなんだから、無駄にするのは良くないだろう。

 

 俺たちが談笑していると、生徒会の先輩たちによる模擬戦が始まった。俺たちは、話すのをやめて先輩たちの模擬戦に集中する。生徒会に入るには実力が必要らしいので、生徒会の先輩たちはこの学園屈指の魔法使いなのだろう。生徒会に在籍している先輩は全員4年生だ(4期生は11歳~13歳だ)。5期生じゃないのか、という疑問には理由があり、この学園では5期生は名誉学年と呼べるような学年で、5期生になると、冒険者のように実地で訓練したり、魔法を研究したり、師匠に弟子入りしたりと個人で自分の道へと進み始める。じゃあ5期生いらないじゃないかとなりそうなものではあるが、この学園の行事には特別な事情が無い以外強制参加となる。そこで自分たちが目指す先輩の姿を見させて、頑張らせようという考えのようだ。

 階下の訓練場では様々な魔法が飛び交い、物騒ではあるが幻想的な空間でもあった。生徒会の先輩たちの技量はカール…宮廷魔術師長とは当然比べるべくもないが、冒険者でいうCランク…つまり一人前と呼べるレベルを超えている。まぁ実践とは違うから一概には言えないが…。

 

 最後に出てきたのは生徒会長だ。生徒会長の相手は誰がするのかと思っていると、生徒会の会長以外…と言ってもここにいるのが全員ではないが…3人相手にするようだ。それを見てクラスメイト達も騒がしくなった。普通に見れば無茶だろうと思えるような行為だ。だが会長は涼しげな表情をしており、少しも気負っていない様子だ。


「では―――始めっ!!」


 先生の声とともに生徒会の2人が無詠唱で初級の魔法を放つ。もう一人は守られるように後ろに立ち、魔法を詠唱している。2人が牽制で時間を稼ぎ、もう1人が威力の高い魔法を放つ心算だろう。火の玉と水の玉が会長に向かって飛んでいくが、


「はぁっ」


 会長は声とともに炎を纏った。炎を纏った手で魔法を弾き、受け流している。


「エド、あれを見ておけ、あれが魔闘術だ。」

「おう!」


 エドは食い入るように会長に集中した。そうこれが魔闘術だ。体に属性魔法を纏って戦う戦闘法。魔闘術は魔力が少ない人だけが使う者ではない。会長のように身体能力が高く、魔力も多ければ相乗的に効果は高くなる。そのため魔力を持つ獣人であれば、魔闘術は好んで覚えるものなのだ。


 会長はその場から動かず魔法を捌き続けていると、後ろの魔法が完成した。


「--行けっアイスピラー」


 その名のとおり氷の柱の先をとがらせた魔法が次々と会長に向かって飛んでいく。氷という属性は存在しないが水属性に含まれる魔法で中級に属している。その魔法が連続して会長に向かっていくと、会長は拳を引き腰を落とし、息を吐いた。


「はぁあ!」


 その後は見事としか言いようがない動きだった。拳を突き出すと、そこから炎が飛び出し、氷の柱を迎撃した。だが、氷の柱は複数だ。会長は体を回転させながら回し蹴り、後ろ回し蹴りと体を回転させると、その線に沿う様に帯状の炎が出現し、全ての氷の柱を蒸発させた。

 だが相手の魔法もそこで終わりではなかった。水の玉を放っていた生徒が、会長が氷の柱に対応してる間に詠唱していたのだろう。手を突き出し「アイスニードル!」と叫ぶと、会長の真下、水の玉によって濡らされた地面から会長に向かって飛び出した。それを会長は宙返りをするように飛び上がり、地面と逆さまに成ると、拳を引き拳が今まで以上の炎に包まると、拳を突き出した。すると、先ほどと比べるべくもない規模の炎が飛び出した。それは砲撃とも呼べるような規模で、氷の棘を消し飛ばし、一気に訓練場の室温を上げた。

 しかし生徒会の面々もその行動は予想していたのだろう。火属性を使った生徒がいくつもの火の玉を会長を囲う様に展開し、もう一人の生徒も細い針状の氷魔法を同じように展開した。


「はははっいいぞ!その調子だ。」


 その危機的状況にもかかわらず、会長は獰猛な笑みを浮かべ笑い飛ばした。それと同時に会長を包む炎の密度が増し、それを一気に爆発させ全てを破壊した。

 その後も生徒会の放つ魔法を会長が真正面から様々な方法で破壊するという展開になり、生徒会の魔力が尽きたところで終わりとなった。


「魔闘術ってすごいんだな!俺も頑張るぜ!」

「あ、あぁそうだな。頑張れ」


 エドは会長を見て、無邪気にやる気を漲らせていたが、俺は少し放心状態だった。会長が強いっていうのは知っていたが、まさかここまでだとは思ってもみなかった。魔闘術の練度は相当なもので11歳とは思えない実力だった。

 まぁそれも放心状態の一つだったのだが、もう一つ。終わった時俺に向かって、獲物を見る目で見つめてきたのが俺の現実逃避の理由だ。


…あぁなんで俺はあの男と戦ってしまったんだろう…

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批判もいい勉強になるので…。

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