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学園の入学式(1)

遅くなってすいませんm(__)m

見捨てないで見てくださいね!

それではどうぞっ(^^)/

 城内で家族や教師と別れ、転移を行使した俺とローズは学園の近くの路地裏にいた。転移で表通りにいきなり現れると周りを驚かせることになることを考慮したこともあるが、今回に入学にあたって俺は召喚魔法の適性持ちというプロフィールで入学することになっている。時空魔法、召喚魔法の二属性持ちはこの世界では俺だけだ。そして俺はフェルミーナ王国の第三王子だ。俺が生まれた時には王都では祝典が行われ、年齢がばれている。そして、三歳の時に行われた、魔力の儀で俺が世界初の召喚魔法、時空魔法の二属性もちだとわかった時にも王都に広められた。そのため、もし特殊魔法の二属性持ちだとばれた時点で俺が王子だとばれる確率が高くなるので、珍しいことには珍しいが、いることにはいる召喚魔法の単一属性として入学することになった。

 意味もなく一度空を見上げる。空は雲一つない入学日和の天気だ。この国での入学式は日本でいう7月ごろにあたり少し日が強く感じられる。俺はこの天気が入学式に打って付けの天気ではあるが、逆にそれが嵐の前の静けさのように感じられた。

 俺はそんな根拠のない考えを振りほどくように顔を左右に振った。


「じゃあローズ行こうか」

『は~い。』


 おとなしくしているようにとの意味を込めてローズに声をかけると上機嫌な声で返事が返ってきた。ローズは外でいろんな人とふれあうことが楽しみなのだろう。


 路地裏から表通りに向かう。だが、表通りに出る直前で立ち止まる。すると目の前を俺と同じ装飾の施されたコートをまとった女子生徒がすごい速度で走り去ろうとした。俺は空間把握を狭い範囲にだが発動させているので登校するときに女子生徒とぶつかるというラブコメ展開には成りえないのだ。と、現実逃避気味に気味に下らないことを考えていたのは、その走りさろうとしていたしていた女子生徒が、通り過ぎようとしていた直前に俺が路地裏にいることに気付き、驚愕して俺に気を取られ足をもつれさせ、こけそうになっていたからだ。

 入学式にラブコメ展開なんて…。だからと言って見過ごすなんて選択があるわけもなく…。

 俺は地面を蹴りつけ一瞬で女子生徒に近付き、手を伸ばす。だが、女子生徒はこけかけたことに気を取られ俺が助けに近付いたことに気付いていないようで、こちらに手を伸ばすという行動がとれそうにはない。舌打ちしそうになるのを堪え行動を変更する。手を掴もうとしてたのをやめ、女子生徒を横から抱き留めた。


「…大丈夫か…?」

「…………」


 女子生徒は抱き留められてフリーズしているようで返事がない。覗き込むようにして女子生徒の顔を見ると女子生徒と目が合った。すると女子生徒は見る見るうちに顔を真っ赤に染めた。女子生徒は自分の格好に気が付いたのか、キャッと俺から離れた。女子生徒は顔をうっすらと赤く染め髪の毛を触っていた。俺はさっきは女子生徒をしっかりと見ていなかったので見てみる。女子生徒は若葉のような薄緑色の髪の毛を肩まで伸ばし、髪の色と同じ色の瞳を左右に彷徨さまよわせている。特に印象的なのは普人族よりも少し長く尖った耳だろう。そのことからわかるようにエルフのようだ。そして、エルフの特徴でもある、すらっと伸びた少し高い身長、白雪のような白い肌。そして肉付きのよくはない体形。が、そんなことには関係なく周りの目を引く容姿をしている。まぁまだ子供だから美少女って言葉がよく似合っている。

 服装はさっきも言ったように学園のコートを纏っている。そのコートは白を中心としいて、長袖に膝までの長さがあり腰でベルトのようなもので締められくびれている。前はベルトで閉じられるようになっていて左胸の部分に校章をかたどった本に杖を重ねた魔法使いのイメージの象徴のようなものが描かれている。

 当然俺も同じ制服を着ている。


「あ、あのっ…ありがとう」

「…いや、気にしなくてもいいよ。俺が驚かしたということもあるし」


 エルフの女子生徒は少しは落ち着いたのか俯きながら感謝してきた。俺はその反応に驚き、すぐに納得して言葉を返した。

 俺が驚いたのは彼女がエルフの性格に合っていなかったからだ。エルフの性格として高いプライドがあるのはイメージ通りだが、それに加え婚約者などの関係の者以外の者に素肌を触られるのを嫌がる…いや嫌悪していると言ったほうがいいか。とにかく、そのレベルで嫌がるのだが彼女にその反応が見られなかったからだ。

 そして、納得したのは召喚魔法の先生であったリーゼロッテ先生の話を思い出したからだ。昔はエルフの集落内で一生を過ごす者たちがほとんどであったのだが、現代では森から出て都市で暮らしている者たちも少なくない。そして、都市で暮らしているエルフは性格が人間と変わらないことも多いと言っていたからだ。だから多分この子も都市で暮らしているのだろう。


「…アーシアです。アーシアって呼んでください。…君の名前は?」

「俺はイリヤだ。イリヤって呼んでもらっていい……ん?あれ、これ…アーシアが落としたんじゃないか?」

「あっそれはっ!」


 アーシアが立ち直り自己紹介をし合ったあと、ふと地面に何かが落ちているのに気が付き、見てみるとペンダントが落ちていた。それをアーシアに尋ねると、尋常じゃないほど慌てて拾い、ポケットにしまい込んだ。アーシアはあははと笑って誤魔化してはいるが俺はペンダントをしっかり見ていた。そのペンダントは木の葉を模っていて透き通った青と緑の綺麗なグラデーションをしていた。確かこのペンダントは…。

 だが、アーシアが隠そうとしているのだそれを詮索するのは良くないだろう。俺にも同じような・・・・・事情があるわけだし。

 俺は慌てていた理由は尋ねずに他の事を聞いた。


「アーシア。それでどうしてそんなに走ってたんだ?」

「あっそうだった!イリヤも学園に入学するんでしょ?急がないと遅れるよ!」

「いやまだ余裕があるぞ?後ろの時計を見てみるといい」


 アーシアが慌てていた理由が遅刻しそうだからということだったが、まだ入学式までは時間がある。王都内にある時計塔が示している時間を見れば一目瞭然だ。

 余談だがこの世界の時間も日本と同じで24時間だ。1時間も60分だ。秒までは決められていない。

 アーシアは愕然とした表情をしていた。アーシアは時計塔を見ることを思いつかない程焦っていたようだ。アーシアは「あいつぅ…」と憎々しげにだが親愛を感じさせるように呟いていた。多分誰かに騙されたのだろう…。まぁ興味がわかないこともないが俺には関係のないことだけど。


「…何があったのかは知らないけど。学園に一緒に向かうか?」

「…そうだね。慌てる理由もなくなったし大丈夫だよ。改めてボクはアーシアです。よろしく!」

「俺はイリヤだ。よろしく」


 アーシアは苦々しい表情を一転させ花のような笑顔を浮かべ握手を求めてきた。俺も笑顔を浮かべその手を握り返した。というかまさかのボクっ娘か…。確かにさっぱりとした性格に見える。

 

「…それでさっきから気になってたんだけど…肩に乗ってるの何?」

「こいつはフェニックスのローズだ。俺の適性が召喚魔法でさ。契約した魔物だから何も危なくないぞ。…ほらローズ、挨拶して。」

「キュイー」『よろしく~』

「よろしくね。」 


 アーシアが手を伸ばしてローズを撫でるとローズが気持ちよさそうに鳴いた。

 俺はアーシアと学園に向かった。学園に向かう途中、アーシアは俺がフェニックスと契約してることに興味を持って色々聞いてきた。だからといって本当のことがいえるわけもなく嘘の設定を本当っぽく話しておいた。ローズは見た目を小さくしているので勝手に子供だと勘違いしてくれて容易に信じてもらえた。



---------------------------


 雑談しながら学園に向かうと門の前に女子生徒が優雅なたたずまいで立っていた。学園は生徒を門の前に立たせるような行事は行っていないはずなので個人的な理由で立っているのだろう。女子生徒がたっていることが珍しいため入学式にやってきた生徒や親たちがちらちらと気にしていた。


「ねぇあの人何であそこに立っているんだろう?」

「ん?あぁそれは…」

「お久しぶりです。イリヤ様。」

「久しぶりだな。エステル」


 近付いてきた彼女…俺の従者であるエステルは俺たちの前まで近づき丁寧に腰を折った。そう。門の前に立っていたのはエステルだ。エステルはあった頃の薄汚れた感じはなくなり光輝く綺麗な金髪と青空のような透き通った碧眼で栄養が足りていなくて痩せこけていた体にはしっかりと肉が付き、周りの目を引く美少女となった。

 エステルは俺の三歳年上になるので今は11歳だ。魔術学園自体は入学時に最低8歳から10歳なのが条件でエステルは俺の一年前に入学した。そのため今現在二期生であり俺の先輩にあたるというわけだ。まぁだからと言って今までと態度は変わらないんだけどな。

 一応俺は商家の跡取り息子ってことになっていてエステルはそこに仕えてるって設定だ。設定が適当なのはばれたところでそこまで害がないからでもある。


「…えっと…それで説明してもらっても良い?」

「あぁごめん。彼女はエステル。俺の家に仕えてるんだ。で、こっちアーシアだ。」

「エステルと申します。よろしくお願いします。」

「ぇ…あぁうん。よろしく。アーシアです。」


 アーシアがが戸惑いながら訪ねてきたので両方に対して紹介した。するとエステルは綺麗な所作でアーシアにお辞儀をし、アーシアがそれに戸惑いペコペコと頭を下げた。俺はそのアーシアの反応が可笑しくつい笑い声を漏らしてしまった。アーシアが顔を真っ赤に染めてにらんでくるが全然怖くない…むしろ可愛いくらいだ。


「それでエステル。ここでずっと待っていてくれたのか?すぐに会えるってのに…」

「いえ、イリヤ様がご入学されるのです。お出迎えするのは従者として当然の義務です。…それにお久しぶりなので早く会いたかったんです。」


 エステルは慇懃な態度で訳を説明したが、後半は頬をうっすらと赤く染めながら小声でつぶやいた。…多分人には聞こえないように言ったのだろうが俺には聞こえてしまい、無意識に撫でてしまった。エステルは俺の行動で俺に声が聞こえてしまったことを悟ったのだろう…顔を俯かせ耳まで赤く染めた。…俺の空把握で捉えられたアーシアが顔を赤く染めていたことは言わないほうが吉だろう。エルフは耳がいいため聞こえたのだろう。


「まぁそんなことより入学式に向かおうか。まだ時間があるとはいえ少し構内を見回っておきたいからな。じゃあエステル、案内を頼むよ。」

「お任せください。」

「じゃあ出発!」


 エステルは元通りになり命令されたことに愉悦を表情に滲ませながら腰を折った。アーシアも切りかえて拳を振り上げながら元気よく声を発した。俺も苦笑しながら拳を振り上げた。

 エステルに連れられて門をくぐる。外からでも見えていたが構内は棟が多く立っていて前世の大学を彷彿させる外見になっている。入学式が行われる場所は少し離れたとこに講堂があり、そこで入学式が行われるので大回りに向かう予定だ。

 俺たちはエステルに連れられ校内を周った。校内には魔法を放ったり、模擬戦などを行うための訓練場があったり、当然クラスの教室が存在する本校舎は最も大きく三階建てだった。他にも研究のための棟や遺跡から出てきた本などが収められている図書館など様々な場所見回り、今は俺たちが入る予定である宿舎に来ている。宿舎自体は男女同じ棟であり中でわかれるようになっている。中の説明は後で纏めて行われる予定なので今は遠慮しておき講堂に向かおうとすると、宿舎から一人の女性が出てきた。


「あれ?エステルじゃないか。こんなところでどうしたんだ?」

「おはようございます。生徒会長・・・・。私はイリヤ様の案内をしていたところです。」


 宿舎から出てきた女性はエステルに声をかけた。エステルの反応からわかるようにこの女性は生徒会長のようだ。その女性は真っ赤に燃え盛る炎のような髪の毛をポニーテールにし、少し焼けた肌に豊満な体をした女性は強い意志を秘めた真っ赤な瞳を俺に向けてきた。その瞳や体も特徴的だが、それ以上に頭から突き出したトラ模様の三角形の耳だろう。この女性は虎獣人のようだ。獣人は成長が早いので体が大人のだろう。

 いや知らないふりはやめよう。この人は有名だ。まずはまだ3年生…10歳であるのに上級生をねじ伏せ圧倒的な人気で生徒会長となった傑物(今年4年生になっている)。。これが学園で一番知られるプロフィールだ。そして、一部…権力者などが知るもう一つは獣人の国であるバイロンの国王…獣王の娘だ。そうこの女性は姫様であるわけだ。知られていないのはそのことを隠して入学してきているのでそのことを指摘するつもりはないけどな。

 そのことを俺が知っているのは俺が王子だということもあるが、その前にフェルミーナ王国と獣国バイロンは友好国である…というか王と王が個人的にも付き合いがある…これは父さんの冒険者時代にできた関係なのだ。まぁそんなこともあって獣王自ら挨拶に来ていたので俺も知っているのだ。


「ん?…様?っていうことはそこの少年が前に言っていたお前のあるじか。…私はユリア・ベルトリーニだ。…イリヤ君でよかったかな?よろしく。」

「えぇイリヤで合っています。よろしくお願いしますユリア会長。」

「私はアーシアです。よろしくお願いします!」

「あぁよろしく。アーシア君。」


 会長は俺の方に近付くと握手を求めてきた。俺は握手をしながら、会長のことを考えていた。俺が前に言っていたように獣人は魔力自体が多くなく、身体能力が高くなっている。だが何事にも例外があるもので、それが目の前にいる会長と獣王だ。獣王のことは置いておいて今は会長のことだ。会長は魔力が獣人では信じられないほどあり身体能力も高く戦いの才能がずば抜けているため次の獣王候補と言われるほどらしい。

 アーシアも会長と握手をし、会長は俺とアーシアを舐めるように見た後、俺のほうを見つめて獣のような笑みを浮かべた。


「イリヤ君…君はここに来ているけど近接戦闘ができそうだね…。」


 会長はそういいながら舌舐めずりをした。…この人は戦闘狂なんだなと現実逃避しながら顔を引き攣らせた。


「会長。イリヤ様は今から入学式ですので。」

「あ、あぁそうだったな。すまない。ではまた後でな・・・


 エステルが俺の前に立ち、庇うようにそういうと会長が照れたように頭を掻いて離れていった。…また後で?そんな意味深な言葉は残さないでほしいな…まぁいい。


「じゃあ俺たちも講堂に向かおうか。」

「わかりました」「そうだね!」


 俺は二人を引き連れて入学式が行われる講堂に向かった。

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