第1話ダート王に俺はなる!!第32回フェヴラリーステークス
これは府中市の外れにある人気のないコーヒー店を舞台に繰り広げられる競馬好き男女7人の「競馬でサクセスストーリーになったらいいな」な物語である。
カランコロン。府中市の外れにある人気のないコーヒー店にひとりの平凡なおっさんがやってきた。
名前は川崎俊、来年50歳になる私立探偵である。この界隈ではJohnという愛称で呼ばれている実はちょっとした有名人である。
はじめ「Johnさん、お疲れさま。今日は仕事してたの?」とコーヒー店のマスター、田嶋一馬を愛しすぎて未だ独身の39歳が声をかける。
さとし「Johnさん、お疲れさま」スーツを着たサラリーマン、岩海智本当に平凡な41歳の2児のサラリーマンが振り返りながら声をかける。
John「お疲れ、仕事なんてこの1ヶ月してないよ。はじめちゃん、いつものココアお願いね」先に来ていた智の隣に座った。
さとし「昨日のキズナ対ハープはがっかりでしたね。2頭も前にいるとは・・・。」
ハープスターは2015年初戦、キズナは骨折した昨年天皇賞春以来の復帰戦でいきなりの初対決と注目のレース。
結果は、先に抜け出していたラブリーデイ、スズカデヴィアスがキズナの猛追を振り切りゴール。
John「実は馬連買ってたんだよね。キズナもハープも消して当てたのに配当が3,040円って出た時はがっかりだったよ。」
はじめ「さすがJohnさん、抜かりないですね。いつものホイップ盛り盛りココアですよ。」はじめはホイップクリームが山盛りのココアをJohnの前に差し出した。
Johnは風貌に似合わずスーパー甘党であった。
John「ありがとう。しかし今年ももうフェブラリーSなんだね。」
説明しようフェブラリーSとは、その年最初のJRA G1レースで名前にある通り2月に行われる。
場所は東京競馬場ダートコース1600m、フルゲート16頭で行われるダート王決定戦である。
今年の注目は昨年覇者で史上初の連覇の期待がかかるコパノリッキー。
昨年12月に行われたチャンピオンズカップ(G1)は1番人気に推されるもスタートで出遅れ、まさかの12着。
暮れの大井競馬場で行われた東京大賞典(G1)は昨年の最優秀ダートホース、ホッコータルマエに4馬身離されたが2着を確保。
そして前走東海Sは武豊騎手に乗り替わり2着馬に4馬身差をつける完勝と調子をあげてきた。
打倒ホッコータルマエだったが、敵はドバイ参戦で出走してこなくなったことも連覇への追い風が吹いてきている。
John「コパノリッキーで決まりでしょう?面白くないな。」
さとし「また出遅れもありますよ。競馬に絶対はありませんから」
はじめ「出るかわからないですが、カゼノコが気になるんすよね。チャピンオンズカップも上がり2番目で0.6秒差ならと穴候補です。」
さとし「今年初のG1ですし、バシッと当てちゃいましょ。始め良ければすべてよしです。」
John「それを言うなら終わり良ければだろう。」
さとし「あ!そうそう。さすが歳とってるだけありますね。それじゃあ、また明日来ますね。」
John「お、もうそんな時間だったか。俺も明日の仕事のために帰るか。って明日も仕事ないんだけど。」
はじめ「また明日お待ちしていますよ。」
こうしてフェブラリーS週の月曜日の夜が更けていった。




