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目覚めました。眠りました。

お気に入り登録 40件越えありがとうございます。

更新遅くて、すみません(脱兎)

短いです。次への繋ぎです。

 ゆっくりと意識が覚醒していく。重い目蓋を押し上げれば、見えてきたのは白い壁。それが天井だと気付くまで、しばらくかかった。

 あれ?

 緩慢な動作で、首を傾けて辺りを確認する。白いカーテンの掛かった窓1つと備え付けの床頭台。そして、テレビが見えた。どうやら、ここは病室のようだ。開けられた窓から、部屋のなかに風が流れ込んでくる。

 どうしたんだっけ?

 心地いい風に再び眠りそうになりながら、記憶を呼び起こす。

 私の最後の記憶は、舞姫の和泉 千歌嬢と一緒に祈りの言霊を捧げたところ。その後、何かに吹っ飛ばされたところまでは記憶がある。

「……どうなったんだろう」

 記憶はそこで途切れ、どうやってここまで運ばれたかなんて検討がつかない。

 困ったな~……

 思わず、大きなため息が漏れた。そして、寝すぎているのか、ベットと接触してる身体が痛くなっている。

 横になってて痛いとか、どれだけ寝てたのよ。

 もぞもぞと身体を動かして、寝返りを打った。が、瞬間。

「いあぁ!?」

 少し動いただけで、体が悲鳴を上げだした。どれだけ寝ていたか分からないけど、推定1日以上動かしてなかった筋肉は、動かすたびに違和感がある。

 なんか筋肉痛みたいに全身痛いんですけど、なんで? 飛ばされて石にでもぶつけたかな~……

 ばたばたとまるで捕まった魚のように悶えながら、何とか体が起こせた。

 マジに、ないわ…… どれだけの体力減少ですかい……

 ふと、甘い香りが鼻をくすぐる。

 あれ? 

 視線を巡らすと、ベット横の床頭台に一輪、花が挿してあった。花瓶が少し可愛そうに見える、大輪の白い薔薇。幾重にも重なる花弁が豪華さをアップさせている。

 ゴージャスか悪趣味かと言えば、紙一重である。

 瑞々しいそれはさっきまで、そこに誰か居たように錯覚させた。

 というか、何で白薔薇?

 花の存在に疑問を感じながら、キョロキョロと室内を観察していると、

「あら? 蓮見さん? 気が付いたのね! ちょっと待ってて、今先生を呼んできますから」

 予告なく入ってきたのは、若い看護師と思われる人。私の顔を見るなり、満天の笑みを浮かべて、いそいそと部屋を出て行こうとする。

 あぁ、ちょっとまって!

「あの!」

 予想外に大きな声が出てしまった。

「? 何かしら?」

 思わず引き止めてしまった私に気を悪くすることもなく、看護師さんは聞き返してくる。反動で伸ばしてしまった手をグーパーグーパーしながら、しどろもどろに私は言葉を探す。

 何も考えてなかった……

「あの、えっと、先生ってここは、どこの病院ですか?」

「ここは、高上(こうじょう)大付属病院よ? 分かる」

「はぁ」

 間抜けな声を返してしまう。それもそうだ。分かるも何も、高上大付属病院は市内で一番大きい病院だ。

 これまで怪我や病気を殆どしてこなかったから、病院自体にお世話になることはなかったけど、学校の定期健診はこの病院が協力先だった気がする。

 でも、なんで私がそこに?

「地震が起こった日、貴女は怪我をしてここに運び込まれたの。幸い、病院は被害が少なくてすぐに受け入れられたんだけど。貴女は、一週間も意識が戻らなくて」

「へ? 一週間……ですか?」

 一週間。

 一瞬耳を疑った。鸚鵡返しで聞き返せば、看護師さんはにこやかな笑みとともに、もう一度事実を言ってくれた。

「えぇ、一週間意識が戻らなかったの。良かったわ~ 意識が戻って」

 うそ―――んっ!?











「はぁ~……」

 重いため息にどんよりとした空気を背負って、私は中庭を歩いていく。

 あの後、看護師さんに呼ばれてきた医師の診察と検査にぐるぐると回され、やっと開放されたと思ったら、実家に連絡していないことを思い出し、連絡をしたまではよかった。のだけど。

 憂鬱な気分とは関係なく、私のお腹はその空腹を主張した。

 そう言えば、ご飯まだ食べてないや……

 歩行スピードとしては、ポテポテっと効果音が付きそうなくらい鈍い。元々そんなに体力があるほうじゃないし、約1週間基礎運動すら怠けてた私の身体は、極端に体力が落ちていた。

 病室にいるのが面倒で、いな、暇で、散歩と称して出てきたけど、もしかしなくても失敗だったかもしれない。

 電話口で両親や兄に怒られた凹んだ気分を紛らわそうとしたのに。余計に凹んだ私の気分。

 そりゃ、地震から1週間も現地にいる娘から連絡なくて心配してたのは分かるけどさ~……

 今は懐かしい公衆電話で、残量ギリギリまで怒らなくても良いじゃないか!お陰で手持ちの小銭は全部なくなってしまったよ。次会うとき、どんな顔したら良いんだか。

 前世+現在の年齢分記憶があるから、私の精神年齢は他の子と比べるとかなり高い。ただ、親達からするとそれがどうやら危なく見えるようで。特に兄はその傾向が顕著である。

 非行に走ってるわけじゃないし、勉強だってそこそこの成績は収めてるのにな~……

 兄さんは、何か過保護だし。

 心配してくれるのは嬉しいけど、たまに面倒くさいんだよね。そして、兄はそれを自覚していないと言う。

 重い重いため息を一つ吐いて、私は芝生の上に座り込んだ。座り込んだというより、寝転んだに近い。ベンチがいくつかあったけど、足を延ばせて無理なく寝転がれる芝生の方が、今は都合が良かった。

 しかも、今日は晴天。

 少し雲が出てきてるけど、穏やかで風が気持ち良い。周りに注意されないのをいい事に、私は芝生の上で伸び上がった。

 1週間前の地震以降、大きな揺れはないけど余震はまだ続いてると言う。

 ゲーム本編で、封印した後どうなったかという詳しい描写はなかったから、この後どうなるかは私にも分からない。

 でも、とりあえず、私がやれることはやった。

 最後に和泉 千歌嬢に渇を入れると言う予想外のことをしてしまったけど。まぁ、大団円と言うことで、いいんじゃないかなって楽観視する。

 そう考えていたら、欠伸が一つでた。

 検査だ何だと連れ回され、実家に連絡したら親に散々怒られ、病み上がりの体には結構堪えたみたい。

 なんか、凄い眠いんだけど…… 疲れてるんだろうね~……

 眠気で体中に力が入らなくなっていくのをどこか他人事のように感じながら、私はそれに逆らうことはしなかった。

 事実眠い。ものすごく、眠い。

 そんな私の耳に、遠くで鳥が鳴いているような声が聞こえる。

 それはまるで、呼んでいるかのような声。

 誰……――?

 薄呆ける視界に入り込んでくるのは、見覚えのない風景。走馬灯の様に移り変わるそれは、いつの記憶なのか私には分からない。現世(いま)なのか前世(まえ)なのか、それとももっと別のものなのか。

 眠りに落ちる瞬間見えたのは、燃えるような赤の色。

 懐かしいようなそれを疑問に思う前に私は眠りに誘われていた。


難産だったうえ、ほぼ主人公しか出てこない~……

次辺りで、他のキャラクターとかを出していきたいけど。

いつ更新できるやら。


気ままな更新ですが、次回もよろしく!

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