【91】
アースレイは濃紺色の髪をイラつくようにクシャっとしている。
ジェラルドさんはいつもと同じ。優しく微笑んでいる。
「ヨーコ…おまえ、知ってなかった訳?」
「んん?何が?」
今、とてつもなく嫌な予感が!汗が背をつたってる。
「ヨーコさんの居た世界ではどうだか知りませんが、このヴェルドゥール国では、女性の数が圧倒的に少ないんです。だから、この国の女性は複数の夫を持つ事が許されています」
な、な、な、何ですってーーーーー!!
「う、うそ?」
「本当です」
知らなかった!!しかも、全然気が付かなかったーー!!
何?って事は、多夫一婦制ですかーーー!?
もう、目が回る。今度は私が頭を抱えたい。知らなかったとはいえ私は……!
「ヨーコさん…、俺の事、嫌いになった?」
うっ!そんな目で見ないで!思わず「ううん」と首を振る。
「結婚してくれる?」
「うん」
「良かった!」
あれ?今、私、頷いた?条件反射って言うか、無意識に…。
また、やってしまったの~~~~!!!
ど、どうして?ジェラルドさんの前だとこうも簡単に~~!!
目の前には煌く緑の瞳、満面の笑顔。
私って、最初からこの笑顔には弱かったっけ…。
そして、私は未来の第2夫の腕の中。
「と、いう事だから、よろしく!アースレイ」
「おまえら、ふざけんなーー!!」
アースレイは私の腕を強引に掴み、引き寄せられてしまう。
「コレは俺のだ!」
「ちょっと!あっ、アースレイっ!!」
私はバランスを崩し、倒れそうになる。
こっちも、やっぱり条件反射って言うの?
私は倒れそうになるのを踏ん張り、自分の夫を投げ飛ばしていた。
またまた、やってしまった~~~!!!
強かに背を打ってしまったアースレイ。痛みで顔を引きつらせている。
「ごめん!ごめんなさいっ!!アースレイ!!わ、わざとじゃないからね!!信じて~~~!!!」
こんな私達を横で見たいたジェラルドさんは、お腹を抱え必死に笑うのを堪えていた。
* * *
――こんな風に、いつも慌しく忙しない毎日。
でも、幸せに満ちた生活。
幸せすぎて、時々不安が溢れてくる事もあるけど
私は二度もこの世界に舞い降りた。
この先に何があっても、迷う事無く何度でも舞い降りよう。
愛する人達のもとへ――。




