【89】
時は、流れて――。
「待ちなさい!アスカ!」
今日という今日は、母親としてちゃんと言わないと!
「好き嫌いはダメ!ちゃんと食べてきなさい!!」
「イヤァ~~~!!!!!」
「あ!待ちなさい!!」
もう!また逃げられた。
行き先は決まってる。シュカの所。
「どうせ、またシュカの所だろ?」
と言うのは、この国の国王。私の夫、アースレイ。
「アースレイ、貴方からも言ってよ!だいたい甘やかし過ぎ、貴方もシュカも」
私はアースレイと結婚して、すぐに女の子が産まれた。
名前はアスカ。もうすぐ3歳、濃紺色の髪に黒い瞳。
何処からどう見てもアースレイ似の女の子。
ひとりっ子だし、女の子だし、世継ぎだし、我侭し放題。
シュカもシュカ、一日中べったり。
可愛いのは分かる、アースレイもシュカも育児に参加してくれて助かってるのは事実。
ほとんど、この男二人がやってくれて…。母親としての出番は少ないぐらい。
朝から、私なりに育児に悩んでるっていうのに、暢気なんだから。
「それより、ヨーコ」
「なによっ!」
「二人目、欲しくねぇ?」
「はぁ?」
いきなり、何を言うかと思えば…。
肩の力が抜ける、私はアスカの事で相談したいのに!
「そろそろ、アスカにも弟妹が居てもいいだろ?」
「そ、それは、そうだけど…。でも、私が言いたいのは――」
「朝から、家族計画の相談ですか?」
そう言って、執務室に入ってくるのは去年からこの国の宰相補佐官から宰相になったジェラルドさん。




