【88】
私が元の世界に戻っていたのは、たった7~8時間だったのに、こっちの世界では半年以上経っていた。
時間の流れが違うのか、誰も確かめる事なんて出来る訳無いし…。
第一戻ってしまったら、ここでの記憶は曖昧なものになってしまう。
まぁ、今さら考えても仕方の無い事かも。
――数日後。
今、私はシュカと一緒に見張り塔に来ている。
初めて来た時は風が強くて、でも今日は気持ち良いそよ風が首筋を抜けていく。
お天気も良くて、お昼寝するには最高な日。
シュカは獣姿で丸くなって目を閉じている。
でも、眠ってる訳じゃなくて、話しかけると耳がちゃんと私の方に向く。
「ねぇ、シュカ。どうして、私、戻ってこれたのかな?」
当然の疑問である。
「ヨーコの願いを叶えたに過ぎない」
「私の願いを…?」
確か、私の願いって――。
シュカは頭を上げ、目を開き、黄赤色の瞳を私に向ける。
「そうだ、ヨーコの願いを叶えただけ」
腑に落ちない。だって、私の願いは――。
“私の大切な人たちの願いを叶えてあげて”
私は、そう言った。ちゃんと覚えている。
最後に出来る事と言ったら…。他には思い付かなかった。
「それで、私が戻ってこれたの?」
「そうだ」
「でも……」
「我の願いは、ヨーコの傍に居る事」
「…え?」
「レイの願いは、ヨーコと一緒になる事」
「なっ?」
「ルドの願いは、ヨーコともう一度出会う事」
「うそ?」
こ、こんな事って、あるの?無性にこそばゆい!
はっきり言って、照れる!!
赤面モノだ!
「シュ、シュカ~~~」
「ヨーコの願いが叶うのに、半年も掛かるとはな」
あのね、そこが問題じゃなくて。
どうして、3人とも同じような願いを考える訳?
し、信じられな~~い!!
でも……。
「シュカ、ありがとう」
「………」
「こうして、ここに居られるのもシュカのおかげだね」
「約束だからな」
「うん、そうだね。これからも、一緒に居よう」




