【84】
金曜日、放課後、学校の図書館。
先週借りた本を返し、また借りて帰る。
本棚と本棚の間を歩く。窓からは黄赤色の夕日が差し込んでる。
バサッ。
後ろで本が落ちた音。振り返り足元を見る。
開かれたページには、挿絵があった。
さっと、身を屈めその本を拾って本棚に戻す。
校門を出て、家へと向かう。今日はバイトが無い。
自転車に乗って10分ほど走る。
マンションの6階が私の家。エントランスを通って、鍵を鞄から出して鍵穴に入れる。
「ただいま~」
勿論、返事も無ければ、出迎えてくれる人も居ない。
居ないけど「いってきます」と「ただいま」だけは今も言い続けている。
部屋の明かりを付けて、両親の写真に向かってもう一度「ただいま」と…。
――何だろう?
図書室に居た時から変な感じ。
何か忘れてる?でも、何を?
とても、大切な……。思い出せない。
いくら、考えても仕方ない。
今夜は早く休もう。明日も朝からまたバイトだもん。
とりあえず、制服から部屋着に着替えて台所に向かう。
一人の夕食を缶単位済ませて、シャワーもして、髪もちゃんと乾かし三つ編にしてベッドに潜り込む。
サイドテーブルにある目覚まし時計に手を伸ばそうとした時、キリキリとした痛みが頭を――。
何?急に?頭が痛い…。
――ヨーコ!
誰?
頭の中で誰かが私を呼んでる?
それより、本格的に頭が痛くなってきた!
目覚まし時計を掴み損ねて、ベッドから落ちた。




