【81】
そして、今日はオクサーナと教育係り達を会わせる日。
私もグリンダリアに半ば強引に連れられ、この場に居る。
しばらく待っていると宰相補佐官が10人ほどの教育係りを連れてやって来た。
その中に、濃紺色の髪の青年までくっ付いて来ている。
「どうして、国王陛下自ら来てるのよ?」
「別に。ヨーコに会いたかっただけだ」
お互いにだけ聞こえる声でコソコソと話す。あれほど毎日会ってるのに。
特にゴルデイから帰ってきてからは、人目も気にせず抱き付いてくるし、キスもしてくるし。
この国の男の人の愛情表現ってストレート過ぎ!もう少し考えて欲しい。
宰相補佐官が、一人ずつ教育係りをオクサーナに紹介している。
はぁ~、さすがに一国の姫ともなれば、勉学の他にも礼儀作法やダンスやら。
私には絶対無理!
お姫様ではなく庶民の娘で良かったと、無意味な安堵をしてみたり。
「では、さっそく明日から宜しくお願いします。ユニア先生」
と言って、ジェラルドさんが手に持っていた書類を教育係りの中で一番年配の女性に渡している。
「承りました」そう言って、その女性は深々とお辞儀をする。
きっと、その人は教育係り達のまとめ役なのだろう。
アースレイがドアの方へ向かうと、この場に居る者達全員が礼をする。
ジェラルドさんが「どうぞ」と言うので、私もアースレイの後に続いてドアの方へ向きを変える。
――?!
視界の中に何か光るものが見えた。
その光るものは、教育係りの一人の手の中で光っていて。
小さな姫君に向かって飛び出して―――。
何が起きたかなんて、考える余裕も無くて。
私は、夢中でオクサーナを抱き締めていた。
誰かが叫んでる。
耳を劈くような悲鳴が聞こえてくる。
私は、腰の辺りが熱くて。
そこには、小さな銀のナイフが刺さっていた――。




