【07】
私は馬に乗っている。ジェラルドさんと一緒に…。
不安定な私を落ちない様に支えてくれながら。
そのジェラルドさんが私の三つ編みにした長い髪を触っている。
動くに動けない!だって馬の上だもん!
「あ、あの~、ジェラルドさ~ん、私の髪で何してるんですか~?」
「ん?ヨーコさんの髪って、とても綺麗だなっと思って」
「そ、そうですか?単に伸ばしっ放しなんですけど…」
褒められるとやっぱり嬉しい。
照れ隠しに「私は金髪の方が綺麗だと思いますよ」付け加える。
「それより、俺の事は呼び捨てにして下さい」
「え?じゃあ、私の事も“ヨーコ”でいいですよ」
「それは出来ません。『女神』を呼び捨てになんて」
「だったら、私も呼び捨てになんて出来ないよ」
「では、お互い――」
「――“さん”付けって事で」
二人してにっこり合意の笑顔。
私はジェラルドさんとは波長が合うのか、仲良くなりたいなって思った。
確かに、密着してて照れちゃうけど、不思議と安心感はあった。
それより、私達の少し前を行くアースレイに視線を移す。
そう言えば、アースレイだって黒髪…。
改めて、日の光の下で見る彼の髪の色は真っ黒と言うより青っぽい。
まるで、夜の海みたい……。
素直に綺麗だと思った。
月の光にゆらゆらと揺れる静かな水面を思い浮かべた。