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そして『女神』の傍らには『霊獣』。
『霊獣』が、私を見上げている。
目が合い、少し微笑んで見せると安心したのか、黄赤色の瞳を細め亜麻色の身体をすり寄せてくる。
振り返ると、アースレイが立っていた。
「――?!」
でも、私の目には小さな男の子に映って見える。
アースレイが一歩近付く毎に込み上げてくる衝動。
“抱き締められずにはいられない!”
そして、掠れた声はすでに私の声色とは異なっている。
「ごめんなさい…。あの時、こんな風にあなたを抱き締めてあげれば良かった…」
私は濃紺色の髪を優しく撫で、強く抱き締めていた。
私であって、私ではない。そんな私をアースレイは抱き留めてくれる。
きっと、アースレイには分かったんだ。
私の中に居る誰かの事を…。
意識を完全に失う寸前、アースレイはその人の名を呟いた。
“アヤ”
それは先の『女神』の名前だった。




