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そして、王は言葉を紡ぐ。
――この国に太陽を。
「おまえに望みを叶えてやろう。よく見るが良い。私の奇跡の力を!」
手には赤き炎。
紅蓮の炎が天空へと伸びていく。
灰色の雲が切れて、流れようと動き出す。
切れ間から薄青い空が見えてくる。
どよめき、慄き、恐れ――歓喜。
そして、太陽の光が地上目掛けて射し込む。
それはまるで、美しい光の使者が舞い降りたかのように。
「王よ、私の聖火で苦しみも痛みも無く天へと昇るが良い」
男は赤い炎に包まれた。
そこには何も残る事無く、全てが燃え尽きた。




