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【74】
私は立ち上がっていた。
一歩、進み出る。
シュカが私の後ろに付く。
側近の一人が私を止めようと前に出るが、それをアースレイは止めた。
中央に居る騎士の手にある書状を奪い、破り捨てる。
どうして、こんな行動が出来るのだろう?
私が私でなくなっていく感覚。誰かの感情が私の中を侵食していく――そんな感じ。
でも、一体、誰?
過去の『女神』に想いなのだろうか?
そして、ゴルデイ王の前に立つ。憎しみに満ちた茶色の瞳。
「魔女め…」
「そうかも、しれない。でも、私もおまえも罪人には変わりない。いずれ、私も裁かれる日が来るであろう」
もう、私は私では、なくなっている。
「おまえに意味ある死を与えてやろう。その死と引き換えに何を――望む?」
ゴルデイ王は項垂れ、ただ黙っている。




