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女神降臨  作者: 塔子
72/103

【71】

宰相補佐官に案内された場所は城の最下層。


罪人用として造られたとか…。


こういう皮肉もあるもんだと思わずにはいられない。


ジェラルドさんが衛兵に説明し終わる。



「同席します。時間は10分です」

「あ、はい…」



衛兵達は、私達に深く礼をする。その前を通り、オクサーナ姫が居る部屋へと向かう。


暗い部屋。


蝋燭の燃える、ジリジリという音だけがやけに耳に付く。


壁際の椅子に座るオクサーナ。


私はドア側の席。


ジェラルドさんは、座らず私の少し後ろに立つ。


間にはテーブルの何も無く、話をするには結構離れている。



「願い通り『女神』自らご足労を頂いた。深謝の気持ちを以って臨まれよ」

「――っ!」



ドキっとする。こんな風に『女神』扱いされると。


ゆっくりと顔を上げ、小さいけどよく通る声が部屋に響く。



「明日の処刑……、私も見たいのです。父の最期を…」



そこまで言って、大きく息を吐くオクサーナ。



「どうか、お願いです。どなたも取り合ってくれません。不躾な事と分かっていますが……、でも…」

「――どうして、私なの?酷い事を言ったのに…」

「意味の無い死など無いと仰ったでは…!だから、見ておきたいのです。私の中で意味あるものにしたいのです!」



返す言葉が浮かんでこない。


これが11歳の少女が言う言葉なんだろうか。


確かに私は言った。意味の無い死は徒死以下だって。


今、考えれば、あんな事よく言ったものだ。



「良いわ。立ち会えるように、私の方から話しておくから」

「あ、あ、…ありがとうございます…」



泣き崩れる小さな姫君。



処刑は明日。


こればかりはどうする事も出来ない。


ただ、私にはもう二度とこんな戦争なんて起きて欲しくないと祈るだけ。


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