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女神降臨  作者: 塔子
63/103

【62】

――って言うか、何度か経験したこの空気。ピリピリと、感じる。


ここは速やかに、退散した方が。


手に持っていたカップをそ~っとテーブルに置いて、ゆっくり尚且つ素早く無駄な動きもせず立ち上がり、ドアの方へ身体を向ける。



「何処へ行く?」



うっ!



殺気?!さらに冷気!!それでなくてもここは気温が低く。


右手と右足が一緒に出ちゃいそうな、ぎこちない動きで振り返る。


もう少し体感温度を上げようよ~!



「あ、もう、部屋に戻るね。お茶、ありがと。ご、ご馳走さま」

「ヨーコ」

「な、なに?」



う、動けない。もう、動けない!まるで蜘蛛の巣に絡まった蝶の気分。



「おまえは、それでいいのか?」

「何が?」

「俺と…オクサーナの事」

「そ、それは……」

「『女神』のお言葉なら、背く訳にもいかないな」

「!!!!――ほ、本気っ?!!」

「バカか、おまえ!俺にだって選ぶ権利ぐらい有るだろ!」

「…え?」



いきなり、腕を掴まれぐいっと引っ張られる。


ここで倒れたら、負けてしまう、そんな気がして。


私もアースレイの腕をぐっと掴む。


感覚は試合だ!気合だ!


足を掛けて!払って!…あれ?


ド、ドレスの裾が広がらないーーー!!


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