【49】
私は、はっきりと言った。
“ここに居る”と。
シュカと別れた後、執務室に向かう。
今なら言える「私もゴルデイに行きたい」と。
ドアの前でノックをしようとしたら、後ろから「陛下なら、外出中です」という声。
振り返ると、ジェラルド・パパさん。
「あの~、どこへ?」
「それは…今日は特別な日でして。例え『女神』でも」
なかなか教えてくれない。その上はっきりしない。
今度は、ちょっと高圧的にこの国の宰相に問う。
「アースレイは、どこへ?」
* * *
変なの?
行き先は教えてくれないで、行き方だけ教えてくれた。
ジェラルド・パパさんに教えて貰った通り、城を出て中庭を抜け、少し歩くと目の前に、これって離宮?
中はまるで神殿と変わらない。
小さめの神殿って感じで、天井はやっぱりステンドグラス。日の光に満ちて。
これって…?ここ霊廟?墓標らしきものがいくつもある。
辺りを見渡すとすぐに濃紺色の髪を持つ青年は見つかった。
ひとつの墓標の前に立っている。
ゆっくりと近付く。私の気配に気付いたアースレイは顔を上げこちらを見る。
一瞬、驚いた顔。でも、すぐまたムスっとした顔。
「あ…、ご、ごめん。訊いたの。えーっと、ジェラルド・パパさんに」
そう言えば、パパさんの名前知らなかった。だからつい“パパさん”って。
「シドか…」
あ、“シド”っていうんだ―――って、こんな事考えてる場合じゃなくて。
「アースレイ、ごめんね。ここが何か知らないで来ちゃったの。だから、もう行くね」
「――今日はお袋が死んだ日だ。でも、ここには居ない。親父が送った指輪だけが眠っている」
私が一歩、彼から遠ざかろうとした時、話し始めた。
予想してなかっただけに、アースレイから目が放せずにいる。
「自殺だった。窓から身を投げて。俺の目の前で」




