【04】
――背後に人の気配。確実に近付いてくる。
しかも、この殺気!
私は背中に全神経を集中して目を閉じて間合いを計る。
カッと目を開き、瞬時に振り向き相手の胸倉を掴み投げ飛ばす!
背負い投げ!
ドーンッ!!
「私を背後から襲おうなんて100年早…い……って、あれ?」
背中をしたたかに打ち付けた黒髪の男。
それって……、一国の国王様投げちゃった~~!!
「いやぁぁぁぁ~~~、ご、ご、ご、ごめんなさ~い!!」
頭を何度もペコペコと手を合わせて謝る。
だっていくら相手は男とは言え素人投げちゃマズいってー!
「お、おまえな~、いきなり何を……」
「だから、謝ってるでしょう!」
「開き直るのかー?」
「だ、第一、う、後ろから殺気立てて来るんだもん!」
「な、俺がそんな…こと…」
「ククク……あははははは…あはは…」
私とアースレイはその笑い声の主を見た。
お腹を抱え、苦しい~って感じで笑いが止まらない様子。
「おい!いつまで、笑ってるんだ!ジェラルド!」
「もしかして、ツボにはまった?ジェラルドさんって笑い上戸?」
兎にも角にも、私、この国の国王様にとんでもない失態ばかりして怒らせたのは間違いなかった…。