【48】
吹きさらしの見張り塔。
「風、少し弱くしようか?」
両腕を差し出し、手のひらに赤い炎が燃えている。
背後にシュカが立つ。彼の腕が私の腕を支えるように添えてくる。
二人の影が重なる。
赤い炎は光線となり、空に吸い込まれていく。
―――?!
私の腕を離してくれないでいる。
向かい合っていない分、表情が分からない。何を思ってる?
「…シュカ、風、弱くなったよ」
「――ヨーコ」
「ん?」
「…ヨーコ」
「なぁに?」
「ヨーコ」
何度も私の名を呼ぶ。
もどかしい気持ちになる。優しい声が心に沁みる。
どうして、私は『ヨーコ』なんだろう?
「ねぇ、私、似てる?」
「………?」
「えーっと、その~、シュカの想う人と」
「………」
「時々ね、遠い目で私を見てる。懐かしい目っていうか。私を通り過ぎて違う誰かを――」
「……」
「あ!別に嫌だとか、止めて欲しいとかじゃなくて――嬉しいの!!」
「嬉しい?」
「だって、シュカの瞳が見れるから。綺麗だし、好きだから」
――シュカの瞳って、綺麗。私は好き――
「あれから、時間もいっぱいあったし私なりに考えたんだけど。私、この世界に居る事に決めた!」
「……」
「シュカが想う人と出会えるまで、ここに居る」
「…ヨーコ」
「独りで居るより二人の方がきっといい。だから…」
シュカが私を見てる。あぁ、また、あの目。
今もきっと、その人の事を思い出しているに違いない。
「…そうだな、ヨーコ。二人で居よう」
――二人で居よう――




