【44】
私は180℃反転させられ、その男の前に差し出される。
まるで生贄のよう。
青灰色の目が私を捉える。
まるで、肉食動物にターゲットにされた草食動物になったみたい。
もう、目を瞑り、歯を食いしばる。
どんな言葉も罵りも悪口も聞き入れます!
例え、殴られても…!って、覚悟を決めたのに。
ポンっと、頭の上にアースレイの大きな手。
朝からセットした髪の毛をくしゃくしゃとする。
何が起こったのか?声を完全に失った私。口だけパクパク動くだけ。
「俺が、そんな気持ちの悪い事、出来るかよ。何、期待してんだか」
え?気持ち?悪い?期待って?――してません!してません!!
「しかも、身構えて、迎撃態勢じゃねぇか?また、俺を投げ飛ばす気だろ?」
「それは、ヨーコさんが身の危険を感じてるからだろう?」
ジェラルドさんが間に入る。
「アースレイこそ、攻めオーラ出し過ぎだろう。いかにも、襲ってやるって言ってるのと同じだ」
「なっ、ジェラルド!おまえっ!」
「ま、するなら、合意の上で」
と、言って軽やかに執務室を出て行く。
残された私とアースレイ。
妙に落ち着きの無い濃紺色の髪の青年。しかも、少し顔が赤い?
それより、私、耳がおかしくなったのかな~?
迎撃態勢?身の危険?攻めオーラ?合意?
誰かが誰かを襲うの……?
私がアースレイを?
もしかして、アースレイが私を?!
あぁ~、頭、痛くなってきた…。




