【42】
ジェラルドさんは、優しい。
あれ以上、私を困らせる事無く神殿まで送ってくれた。
部屋に入ると「おかえり」と、シュカが迎えてくれる。
私は「ただいま」と、小さく答える。
「どうした?何かあったのか?」
シュカは、鋭い。
きっと、私自身より私の事、知り尽くしてるんじゃないかって思うほど。
「ん?どうして?」
ちょっと惚けてみる。
「レイか?それともルドか?毎日、あやつらと会っているのだろう?」
ふぅ~。
心の中で息を大きく吐く。
アースレイも相変わらず私の事邪険に扱うし、ジェラルドさんは…。
まさか、告白されるなんて。しかも、あんなに求愛されて――。
――求愛?
自分で言ってて、顔が赤くなる。
そんな私の微妙な変化も、シュカは見逃すなんて有り得ない。
「ヨーコ、我はどちらでも構わんが、おまえを苦しめるだけなら排除する」
は?え?今、何て…?排除?排除って言った?
恐る恐る訊いてみる。
「あの~、は、排除って、どういう……」
「排除は、排除だ。他に何が」
「えーっと、シュカ、排除は止めておこうね」
思わず何度も「ね、ね、」と念押ししてしまう。
シュカは、それ以上何も言ってくれない。
私は、どちらかを選ぶのだろうか。
私の心は揺れている。二つの世界で揺れている。
風そよぐ、光り輝く緑の大地――と。
深く沈む、青い夜の海のしじま――を。




