【41】
「綺麗ですね」
ジェラルドさんはそう言って、緑の瞳に優しさが増す。
「うん…」
「いえ、貴女の事です」
ポカンと、間抜けな顔になってしまったに違いない。
「ジェラルドさん…?」
突然、緑色の瞳が真摯な眼差しに変わる。
「俺に気持ちは本気なのに、貴女は冗談だと言って認めてくれない。――ヨーコさんが、愛しているのはあの男なんでしょう」
あ、あの男って…?
「執務室に来るようになって、盗み見るように見てるじゃないですか―――アースレイの事を」
うそ?ばれてる!!!
だって、誰にも分からないようにしていたはずなのに!
「ちょっと、待って!確かにアースレイの事は気になるけど、でも好きとかまだ分かんないし、それにアースレイは私の事なんて――」
こんな時、何て言えば。
「ジェラルドさん、私なんかじゃなくて、きっと1番に貴方の事を想ってくれる人が現れるよ。だから…」
「そう言って貴女は残酷な事を言う。他の誰かなんて俺は要らない。俺が愛してるのは貴女だ」
「ジェラルドさん!」
「俺は貴女に愛されたい!――2番目でもいい、3番目でもいい。ヨーコさん!!俺を……!」
――恐ろしい。こんなに真剣の想いほど、恐ろしいものは無い。
ジェラルドさんは、私を包み込むように抱き締めてくれる。
「ヨーコさんを困らせるのは分かってました。…謝ります」
「ううん、謝らないで。私もジェラルドさんの事は好きだよ。貴方の気持ちは嬉しいもの…」
言葉が上手く出て来ない。
自分の気持ちすら定まっていないのに。
緑色の瞳を持つ青年の腕の中で、私は完全に言葉を失っていた。




