【39】
あれから、私は光の神殿と国王陛下の執務室を往復する毎日。
こういう時『女神』で良かったかも…、城中何処へでも行けちゃう。
だって、執務室でお仕事ガンガンやってる国王の横に居ても誰も文句は言わな……って,
1名居た。
「おい!ヨーコ、おまえ毎日ここで何をしてるんだっ?」
怒り心頭のアースレイ。
「何って、こうやってお茶を淹れたりして…」
今、私の手には紅茶のポット。3つあるカップに注いでいる。
「どうぞ、ジェラルドさん」
「ありがとう、ヨーコさん」
と、言ってにっこりされると和んでしまう。さすがは、金髪の美青年。
「はい、アースレイも」
「俺はついでかよ」と、ぶつぶつ言ってる。だから、はっきりと「ついでだよ」と、言ってやる。
私の仕事は、お茶汲みと診療所から声がかかるだけで、大半は部屋の隅っこに座って本を読んでいる。
彼らに比べれば、暇と言えば暇だけど…。
「なんか、こうして見てると本当に国王様なんだね」
「おまえな~、今まで俺を何だと」
アースレイの席には書類の山。
戦争が、終わったら終わったで色々あるんだとか。
政治的な事はさっぱり分からないから、大人しく邪魔にならないようにしてるじゃない!
ジェラルドさんは、宰相補佐官として働いてる。
優雅な動きでカップをソーサーに置いて「ごちそうさま」と言って、自分のカップと私のカップを片付けてくれる。
「少し、俺と出かけませんか?」
「え?」
ちらっと、私は濃紺色の髪を見る。
「ジェラルド、おまえ仕事はいいのかよ?」
「今日の分はもう有りません」と、国王陛下に答えると「さぁ、行きましょう」とエスコートしてくれる。
もう一度、ちらっと見る。書類に目を通し何やら書きなぐってる感じ。
ちょうど、執務室を出ようとした所で一人のおじいさんと入れ違いになった。
ここに来るようになって、何度か会ってる人。
でも、話した事も無ければ挨拶すらも無くて、そのおじいさんは私の姿を見る度、恭しく頭を下げるだけ。だから、私も頭を下げる。
「では、お先に失礼します」
と、ジェラルドさんは言って私を連れて執務室を後にした。




