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【03】
朝早くから僅かだが廊下が慌しく感じる。
身支度を済ませ部屋を出ようと思った時、ノックがした。
「誰だ?」
「俺」
誰なのかすぐに分かる。この国の宰相補佐官で俺の幼馴染み。
長い付き合いだからこそ許せる短い返答。ドアを開けて入って来た。
「何かあったのか?」俺は簡潔に問う。
「あぁ、『女神』の部屋がもぬけの殻だそうだ」
「はぁ?なんだそれ?」
「グリンダリア様が仰るには“『女神』は神殿内にいらっしゃいます…朝の散歩でしょう”……どちらへ?」
「ん?あぁ……俺も朝の散歩」
「心配なら心配と言えばいいのに」とクスッと笑う。
俺は思いっきり眉間の皺を寄せた。
「では、俺も朝の散歩に付き合おうかな~?」
「か、勝手にしろっ」
大聖堂の扉が少し開いてるのに気付いた。
そっと覗いてみると、広い大聖堂のポツンと一人長い黒髪の少女が立っていた。
天井を見上げ、ぶつぶつと独り言を言っている。そして項垂れる。
泣いている…?
声を掛ける事も出来なくて、ゆっくり背後から近付いた。
光の中の彼女は正しく『女神』そのものだった。