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【37】
黒髪の娘が、慌しく出て行ったかと思えば、今度は…。
「あら?ヨーコは?――もしかして、今しがた出て行ったのが」
白金の髪を持つ少女が問う。
「そうだ」
返事をするのも面倒だ。
元気になったのね、と愛らしい笑顔で言う。
そして、少し悪戯っぽい瞳になる。
「じっとしていられないタイプのようね。あの方と同じ」
「何の事だ?」
「約束したではありませんか?」
「……」
「きっと、ヨーコがあの方の生まれ変わりだと思うのだけど」
「……」
「もう、これで『女神』を召喚する事も無くなるのかしら?」
「何故、そう思う?」
「だって、シュカ。あの方も貴方の事を“朱夏”と…」
「……」
「これって、偶然なのかしら?」
菫色の瞳を細めて微笑む。
「せっかくだから、お茶でもしながら昔の話でもしましょうよ」
そうそう!コウの話もね、と付け加える。
我は何年経とうと、何十年何百年経とうと、この大巫女には逆らう事は出来ない。
それも全てコウのせいだ、と。
誰にも気付かれぬよう、小さく溜め息を付いた。




