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女神降臨  作者: 塔子
36/103

【35】

母上は、俺を見る事は無かった。


いつも窓際の椅子に座り、外の景色を見ている。


傍らには霊獣。


その黒い瞳には何が映ってるの、俺には分からない。


故郷を思い浮かべてたのか、それとも――。










俺が10の時、戦争は始まった。


この国は『女神』の加護の元、緑豊かだ。


それは、全て『女神』――つまり母上の力のおかげだと、俺にとっては自慢の母上だった。


『女神』の力を奪おうとする悪いやつらから護らなければと思った。



「母上、大丈夫だから。父上とみんなが護ってくれるから」



でも、母上は俺を見る事無く。



「そんなの嘘よ。みんなは、私が戦えばいいと思ってるわ」



母上は言う。


「帰りたい」と。


同じ言葉を繰り返すだけ。


母上は祈る。


「会いたい」と。


それは一体誰なんだろう?


母上は願う。


「死にたい」と。


そんなの嫌だ!



唯一、叶ったのは“死にたい”という願い。



『女神』アヤが死んでから10年後。


大巫女は新たな『女神』を召還する。


誰もが皆喜んだ。これで、戦争は終わるのだと。


『女神』が救ってくれるのだと。


この国は小国だ。これ以上、戦う事も出来ない。


そして、あの日『女神』は俺の上に落ちてきた。


長い黒髪、黒い瞳の漆黒の女神。


一瞬、母上かと…。


でも、違っていた。その黒い瞳は、力強く俺を見た。


俺を見てる!


母上と同じ思いをさせたくない。そして、元の世界に返すんだ。


でも、俺は護れなかった。


襲撃に遭ったと駆けつけた時、霊獣と共に炎の中居るのを見た時、全ては遅かったと後悔した。


それから、何度もヨーコの部屋を訪れたが、窓際の椅子に座り外を見てるだけ。


あの時と同じ、母上と同じ。


そして、何度目か訪れた時、ヨーコの声がした。心臓が跳ねた。


霊獣が“アヤ”という名を口にしている。


そう、アヤは――。



「アヤは、俺の母親だ」



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