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女神降臨  作者: 塔子
35/103

【34】

――亜夜(アヤ)



20数年前に、この世界に舞い降りた『女神』の名。


大きな黒い瞳が印象的な少女だった。



「帰りたい」



それが、彼女の口癖だった。


そして、誰かが護ってやらなければ生きていけない――そんな儚げな少女。


国王が、アヤを妃にと望んだ。


少女は16歳になったばかりで、10歳以上も年の差はあったが、彼女が『女神』という事もあり反対する者も無く、勧められるままに王妃になった。


アヤは、王を愛してる訳ではなかった。


ただ、この世界で生きていくのに、そうなっただけ。


自分一人の力では生きていけない。


だから、選択した結果。


そして、アヤは男の子を産む。アースレイと名付けられる。
















アースレイが、10歳になった年。


その年、この世界は、突然原因不明の寒波に襲われ氷の世界に。


でも、ヴェルドゥール国は緑豊かな国。『女神』の力で護られている。


そんな、幸運な国を隣国が放って置くはずも無く。


『女神』の奇跡の力を欲しい、と。


そして、戦争は始まった。


でも『女神』は、動かない。



「10年経っても帰れない…。帰りたいだけなのに…」



と、アヤは言う。



「私がいけないのね。戦争は私が居るせいだもの。しかも、戦わない『女神』なんて要らないでしょう?でも、私は人殺しの道具にはなりたくない。終わりにしましょう。私は、もうここには居たくない」

「アヤ…」

「私の最期の望みを…」



アヤは、微笑んでいた。


その時、我は初めて見た『女神』アヤの微笑みを。


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