【32】
その後、私は保護されて光の神殿まで護送された。
ジェラルドさんが「俺の読みの甘さです。ここが狙われるのは分かっていたのですが、もう一日早く貴女を安全な場所へお連れすれば…」と――。
今の私には何も見えなくて、聞こえなくて――心は、ここには無かった。
脳裏に浮かぶのは赤い炎、燃える大地、燃える人間。
鎧が、服が、皮膚が、最後には骨すらも。
何も残らず、炎の中に消えて行く。
あの炎が、あの事故と重なる。
窓際にある椅子が、私の定位置になってしまった。一日中座ってる事が多い。
そして、ぼんやり窓の外を見る。
シュカは相変わらず私の側に居て、何も言わず、何処にも行かず、目を閉じてくるっとなってる。
あれから、何日経ったんだろう?
側に居るはずのシュカが、居ない。
「シュカ…?」
「戦争が終わったそうだ」
そう言って、部屋に入ってくるシュカ。
戦争が終わった?終わったんだ…。
「あれだけ一度に戦力を無にすれば、戦意も無くなるのは当然だろう」
「………私の…力…」
「あれは、我の力だ。おまえに与えたに過ぎない」
でも、あの炎は私の…、私の手のひらから!
「だから、あれは我の!おまえが苦しむ事は無い!」
「シュカは、優しいね」
私は、窓の外を見ながら言う。
「ヨーコ」
シュカが、私を抱き締めてる?あぁ、今は人の姿なんだ。
シュカの腕に力が増す。私はされるがまま。いっその事、このまま窒息してもいいかも。
「ヨーコ…」
シュカ……?
「ヨーコ、おまえも望むのか?アヤのように…」
――アヤ?…アヤって誰?




