【02】
ここは、ヴェルドゥール国。
私はこの世界に来て初めての朝を迎える。
昨夜、案内された部屋はあまりに広くて豪華過ぎて落ち着かなかった。
窓辺にあった椅子に膝を抱えて座りぼんやり考えた。
グリンダリアの話は丁寧で分かり易かった。
女神の事、この国の事、隣国と戦争中である事、それにあのアースレイが国王で、ジェラルドさんが宰相補佐官…。
あの男が国王?冗談でしょう?
でも、そんな事はどうでもよくて、私が唯一口にした言葉は「帰れるの?」だけだった。
「貴女次第です」
あまりに曖昧な答えだと思った。
眠れなかった。
部屋に居ても仕方なく思えた。
今、居る部屋はグリンダリアが住まう光の神殿の一室。
窓の外を見ると日が昇ろうとしている。空は少しずつ明るくなる。
部屋を出て、私が“落ちた”神殿の大聖堂に来ていた。
天井を見上げると、色鮮やかなステンドグラスが朝日に煌いていた。
神々しい光が差し込んでくる。
「私、あんな所から落ちて来た訳?」
誰も居ないのをいい事に心の中の気持ちを口にしている。
「あっ!バイト!どうしよう!って、言っても無断欠勤でクビ決定ね~」
私にとっては大事な収入源。
「はぁ~」と大きな溜め息を付いた。