表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/12

エピローグ

 ゴトトン、ガタタン。電車が揺れる音がする。

 俺は、いつもと違う体操服姿で、座席に座り、流れる景色を見つめていた。

 ビルが棒グラフみたいに立ち並ぶ都会が小さくなっていく。

 これから十分ほど時間をかけて、電車は地元の街へと向かう。

 俺の名前はピエール――じゃなかった。西荻窪マモル。魔王と呼ばれることもあるが、実は魔王ではない、ただの男だ。

 この世界のほとんどを俺は愛していて、この世界の全ての人を幸せにしてやりたいとさえ思っているんだ。

 さて、どうだろう。この世界は平和だろうか。

 皆が幸せを感じて生きているだろうか。

 ――俺にはわからない。

 それぞれの幸せがあるはずだと思っている。

 こんな考えは甘っちょろいのかもしれないけれど、みんなの幸せを、俺は信じたい。

 まずは、俺が幸せにならねばならない。

 そうすることで、みんなに幸せを分け与えることができるなら。

「なぁテレサ」

 ガタタン、ゴトトン、電車の中で、俺は隣に座るテレサに話しかけた。

「何さ、マモル」

「俺と結婚、してくれ」

「保留」

「えぇっ…………」

 どうやら、幸せという名のターミナルにはまだ辿り着けないらしい。

 電車は停車した。

 慣れ親しんだ地元の駅に。






【ピエーリズム おわり】




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ