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<音楽室にて>第1部
<音楽室にて>
「私、合唱部なんだ!」
隣のコが授業中話しかけてきた。
「歌、上手なんだ」
「でも楽しくないの。私はもっと自由に歌いたいんだけどさ…」
「聴いてみたいな」
「え?」
「いや、その、自由な君の歌を」
「本当!?」
自分でも何を言っているのかわからなかった。今時異性に対して歌を歌う?告白の際に「君のために歌を作った」と言っても喜ばない人が多いはず。有り得ないような展開だよな。
「じゃ、良いこと教えてあげる」
ここで先生が私語を注意したので間があいた。
「あのね、3階の美術室の廊下からね、良い匂いがしてくるんだって。放課後にでも言ってみてよ」
何のことかさっぱりわかっていない僕の顔を見て、彼女は嬉しそうに笑った。その笑顔もまた僕を虜にさせた。
(おかげで2度目の注意をうけ、僕はその場に起立しなければならなかった)
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