10/16
肌荒れ
「何よこれ…何よこれ…!なんなのよこれぇぇぇ!!!」
あたしは手鏡を覗き込み、叫んだ。
肌にポツポツと赤や白の発疹が浮かび、血が浮かんでいる所すらある。
「どういうこと!?いったいどういうことなの!?」
あたしは鏡を壁に投げつけた。
「お、落ち着くっぽ、ご主人様…」
ベッドの下の暗がりから声がする。
あたしはそれに向かって、化粧水の瓶を投げつけた。
「あんた、ちゃんとあたしに魔法かけてるんでしょうね!?対価を貰ってるくせに仕事をまともに出来ないなんて、なんて役たたずなの!?」
「そ、そんなことをいわれても、これは…」
「うるさい!いいから早くあたしの肌を治しなさい!!!」
あたしは乱暴に椅子に座り、爪を噛んだ。
「くそ、くそ、くそ…ようやく、王子が手に入ったのに。ようやくあの目障りな女を陥れたのに!こんな…こんな顔じゃ、いったいなんで…」
ベッドの下から、くすんくすんと鳴き声が漏れた。
「早くしなさいこのグズ!!!」
近くにあった香水の瓶を引っ掴む。
投げつけられて割れた小瓶から、噎せ返るような甘い匂いが立ち上った。
「このままじゃ絶対終わらない…あたしはこの国の頂点に立つ女なの…」
薄暗く荒れた部屋には、何かの啜り泣く声と、呪詛のような声が不気味に渦巻いていた。




