面会1回目 報告者:研究者A
面会1回目
正直、緊張してた。
自覚はある。手袋をはめる指先がいつもより遅かったし、マスクをつけ直した回数も多い。
目元しか見えない。だから化粧なんて意味ない。
……って、何度も自分に言い聞かせた。
涙袋も控えめにしたし、派手にはしてない。
「研究者として最低限の身だしなみ」
そういう理由を用意してた。
でも本当は、
少しでも可愛く見られたかったんだと思う。
顔は見えなくても、雰囲気って伝わるから。
それくらいの自己主張は、許される気がした。
面会は予定通り、質問票から始めた。
声を聞くのは、これがちゃんとした形では初めてだった。
落ち着いていて、考える間をちゃんと取る話し方。
言葉を急がないところが、印象に残った。
質問を進めるうちに、
GT-37が大切にしてきたもの、
人生の中で選んできた基準みたいなものが、
少しずつ見えてきた。
全部が分かるわけじゃない。
正直、理解できない部分もあった。
でも、自分で考えて、自分で決めてきた感じは伝わった。
特に良かったのは、
「自分の弱さを管理しようとする姿勢」。
放置しないで、否定もしないで、
扱い方を考えようとするところ。
そこには、かなり親近感を覚えた。
気づいたら1時間。
本当にあっという間だった。
時計を見た時、少しだけ惜しいと思ってしまったのは、
ここには正直に書く。
昼休憩。
昨日の夜に作っておいたお弁当を食べながら、
……彼のことを考えてた。
仕事にお昼を持っていくって言ってた。
どんな中身なんだろう。
ちゃんと栄養、取れてるのかな。
体格を見れば不足はなさそうだけど、
何を選んで食べてるのかが気になった。
味重視?
効率?
それとも、習慣?
そんなこと、知る必要ない。
分かってる。
でも思考が勝手に回る。
これは研究じゃない。
でも、まだ恋でもない。
たぶん。
午後の業務に戻る前、
白衣の袖を直しながら、
次の面会の日程を確認してしまった。
……早すぎるかな。
でも、楽しみなのは事実。
ここには、書いていい。
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