私的観察ログ 作成者:研究者A
……まずいな、これ。
最近、仕事が楽しい。
いや「やりがい」とかじゃなくて、もっと単純に待ち遠しい感じ。
でもそれを言葉にしたら負けだと思ってる。
言語化した瞬間に、これは研究じゃなくなる気がするから。
私、特定の異性いないし、
こんなふうに一人の相手について考えるの、ほんと久しぶりだと思う。
だから余計に、自分でも警戒してる。
考えてない、考えてない、って何度も確認してる。
で、新しい業務。
GT-37の理解を深めるための面会。
……正直に言うと、心が踊った。
仕事だよ。分かってる。
でも「また観察できる」じゃなくて、
関われるって思ってしまった。
彼、だなんて呼び方も、ここだけ。
公式ではGT-37。
それ以上でも以下でもない。
質問内容は上官が用意したものだし、
私はそれを聞いて、まとめて、分析するだけ。
個人的な話なんてできない。する必要もない。
……でもさ。
ずっと気になってたんだよ。
声のトーンとか、言葉の選び方とか、
どういう思考で、ここまでの状況を「いい」と判断したのか。
これだけの条件を、
理解して、選んで、お願いする人って、
どんな頭の中してるんだろうって。
共感できる部分もあると思う。
正直、分からない部分も多いと思う。
でも、分からないなら分からないなりに、
聞いてみたいって思うのは、研究者として普通だよね?
……普通、だよね。
面会は仕事。
私は研究者。
それでいい。
ただ、最近、
次の予定を確認する時だけ、
少しだけテンポが速くなるのは、
たぶん気のせい。
ここには書いていい。
まだ、認めるほどじゃないから。
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