研究報告書 報告者:研究者A
経過観察ログ
対象識別コード:GT-37
観察者:研究者A(同世代)
時点T0
環境入室後、GT-37の呼吸はやや浅く、一定のリズムを保っている。視線は遮断されている想定だが、頭部の角度変化から周囲音への注意が集中していると推測される。肩帯の緊張は初期値より高い。
研究者内心メモ(非公開)
同世代で、生活史も大きくは違わないはずなのに、反応の出方がここまで異なるのは興味深い。
私はどちらかといえば、対等性や即時的なやり取りに快を見出すタイプだ。主導と反応が短いスパンで入れ替わる、軽快な関係性。
それに比べてGT-37は、決定権が外部に固定される状況で安定する。理解はできるが、同じ選好にはならない。――それでも否定は不要だ。
時点T1
体幹の支持点が変化。腹部と骨盤帯の緊張が緩み、代わりに下肢の微細な筋活動が増加。これは逃避ではなく、姿勢維持への再配分と解釈できる。皮膚温の自己申告は上昇傾向。
研究者内心メモ
私なら、この段階で状況を軽く言語化してしまう。冗談や確認を挟む。
だがGT-37は言語を求めない。むしろ言語が削られるほど反応が整理される。
同世代という共通属性が、ここでは何の近道にもならないのが面白い。
時点T2
呼吸が深くなり、間隔が延びる。首から肩にかけての力みが低下。身体反応の変化に対し、自己修正を試みる兆候は見られない。観察されているという前提を受け入れ、抵抗が減少している。
研究者内心メモ
私は「共有」を好む。相手がどう感じているかを知り、同時に自分も曝け出す。
GT-37は逆だ。共有が減るほど、対象は輪郭を得る。
同じ年に生まれ、同じ社会規範を通過してきたのに、快の設計図がここまで違う。
不思議だが、不快ではない。
時点T3
反応は安定域に入ったと判断。新規刺激がなくとも、現在の条件だけで一定の生理反応が維持される。これは状況そのものが報酬として機能している可能性を示す。
暫定所見
GT-37は、
•観察されること
•管理されること
•意味づけを他者に委ねること
これらが組み合わさった構造に反応している。
行為ではなく、配置。接触ではなく、立場。
研究者内心メモ(結語)
私は私の好みを変えるつもりはない。
だが、GT-37の反応は一貫しているし、誠実でもある。
同世代で、同じ時代を生きて、違う快を持つ。
それだけのことだ。――記録は続行する。




