生命の誓約1 破壊神
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彼とは同時に旅に出た。すれ違いばかりであったが、迂回した旅の果てに、ついに出会えた。その邂逅は感動であった。
〜街からの旅人より〜
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引きずるように三人は連行される。嫌がらせのように槍で刺されながら。
悲鳴と悪魔の甲高い声が向かう先、
それはあの滝から見た塔と要塞、結界の中心であった。
引きずられ連れて行かれた要塞。三人はすでに満身創痍で、足の指の何本かは千切れかけ、四肢の変色は骨が折れていることを示す。結界の苦しみで、息がうまくできない。
辺りが暗くなってきて、塔はキラリキラリと光を放っている。ただの物見櫓ではない。結界を張っている本体だ。その強烈な存在感が、三人の意識を朦朧とさせる。
突如訪れた意識をごっそり削るような嫌悪感。体の震えが増す、まだ終わりではない、圧倒的な嫌な存在感が近づいてくるのがわかる。二つ、ゆっくりと悪魔の中の大悪魔がこちらへ向かってくる。
「魔王」と「魔女」別格の二つの恐怖が、三人を品定めするように見ていた。
葉月は朦朧とする意識の中で他の二人を見た。自分の耳は切り落とされ、腕は違う方向を向いている。――運が良い。自分が今、一番塔に近い。「少しでも近くへ」。
転がるように、葉月は塔へ近寄った。地面にめり込んだ顔、口からは泡が出ている。ああ、また蹴られたか、殴られたか。「…ここまで…か」
リアムとアトラは?
薄目で、彼らが魔王のところへ無理やり動かされているのを捉えた。
「ここで、この場面が来るとは…な」
葉月は、自分が生きていることに心底嬉しくなった。魔法を封じられても、命までは封じることはできないのだ。葉月にとっての「ベストタイミング」が訪れた。
その巨大な破壊の光球は、滝の上からもハッキリと見ることができた。弾けるように空気が波打った。
書物を読み漁っていて見つけたこの魔法。葉月は使うことはないと願っていた。もし使うとしたら、それはもうどうしようもない時だ。しかし、その威力はどんな物と比べても比にならない。覚悟だけは決めてきた。魔法の力がなくても使える魔法。
「自分の持つ生命を媒介に、ありとあらゆるものを破壊する究極の魔法。爆発させるのは、自分の命と存在なのだ」
塔の下で突如、巨大な光球が爆発した。周囲のものは軒並み消滅し、音が遅れて届く。悪魔も塔も吹き飛ばされた。「空が割れるような音」が遠くまで鳴り響く。
リアムはかろうじて見えた目で、葉月が何をしたのかをハッキリと捉えた。その理解が追いつく頃、
蘇る、
失われていない状態の力が、
体中を稲妻のように鱗を焦がすように駆け巡った。
雄叫びを上げ、尻餅をついた悪魔の精鋭の存在を見て、当たり前のことを思い出した。
「悪魔は弱い」




