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集合 2

かなり間が空いてしまいました

数十分後、花一はそのイメージからは想像もつかないラフな私服を身にまとって戻ってきた。

だからといって中身も別人のようになるということはなかったようだったが。


「大変お待たせいたしました。只今戻りました」


計6人が地下の一部屋に集合し、張り詰めた空気がヒリヒリと皮膚を擦る。


「さて花一も戻ってきたところで早速本題だが、ゾンビ化現象についてだ」


トキマサはまた画面にカレンダーの図を表示させる。


「君たち4人が薬を打たれた日、ちょうど同じタイミングでゾンビが確認された。今のところは君たちが初めての事例だ」


トキマサは指で日付を順になぞっていく。


「そこから日を追うごとにその姿の目撃例は比例して上がっていった。だがどこにでも現れた訳ではなく、局所的で、かつ広範囲で目撃されている。現に都内だけでなく近隣の県でも存在が確認され、SNSで話題を呼んだが公に報道されることは1回もなかった。千葉県でのあの事件は特に大きい反響を呼んだが……」


確かに、殺人にしてはあまりに物騒でかなり唐突すぎる。

今となっては世間が裏の影で蠢くその何かに感づき始めているが、現在もなおそれはただの都市伝説であり、それを信じて警戒や備えをしようものなら陰謀論者とレッテルを貼られ浮いた存在になってしまう。

よって誰もそこまで深く事を受け止めていないのが現状だった。


「だが不思議なことに、ワシが花一の家での準備のため1週間ほど君たちと会うことがなくなってから、その目撃数や事例も減っていった。今はそういう界隈のユーザーたちが昔の占いや著名人の言及と関連付けて世界の終わりや世界大戦の予兆などと話が違う方向に独り歩きし始めた……」


これもまた不思議なことに、緑っぽい肌で唸りながら町を練り歩く人影を見たという投稿も関連のありそうな事件もめっきり途絶えたのだ。

でも確かに、ゾンビたちは存在している。


「これが今のところ分かっているワシのデータだ。花一、他に何か詳細を教えてくれないか?出来るだけ早急に何とかしなければ……」


"日本侵略計画"。

その字面がトキマサの脳内に稲妻のように浮かび上がる。

この国を侵略、つまりは他国が絡んでいることも予想できる。

そういう界隈で言われる世界の終わりや世界大戦も陰謀論の域を出ようとしているのかもしれない、もうそんなバカなと笑って流せるような話ではないのかもしれない、そう思うとトキマサは細かくシワの入った手を白衣に押し付け、滲む汗を拭き取った。


「はい。現段階ではまだ私も全てを知っているわけではございませんが、大まかな計画等は存じておりますので、それを共有させて頂きます」


花一意外はゴクリと唾を飲んだ。


「まず、ゾンビ化現象についてですがここ最近目撃数や事件等が激減したということに関しては、今までの課題であったマインドコントロールの技術が上がったことの裏付けであると考えられます。上層部は国民を全員ウイルスに感染させ、その指示に忠実になるよう仕向けるつもりです」


トキマサはデスクを勢いよく叩いた。

その額には少し汗が滲んでいる。


「なんだと?!そこからどうするつもりなんだ?!」


花一は淡々と顔色1つ変えずに話を続ける。


「これはかなり前に中国で極秘裏に結ばれた日中安保条約です。日本の安全を約束する変わりに、その全てを管理する権限を明け渡す、と。こんな事は国民が首を縦に振ることはないですから、全く新しい未知のウイルスを開発したのです。初期段階の細胞組織が腐敗して緑色になり、知能が著しく低下し唸ることしか出来ない段階の個体、或いはウイルスが外に出てしまったことにより感染を繰り返し広がっていったと考えられます」


トキマサは眉間に指を当て嘆いた。


「それはただ国土の安全を守るだけで、国民の安全を守ることにはなっていない……」


ここでナオヤが質問する。


「じゃあ最近はその初期段階の個体が減っただけで今もかなりのゾンビがいるってことですか?」

「仰る通りです。1週間程前、出回っていた初期段階のウイルスの全滅を確認したところです。ですがこちら側は各地方の主要都市にウイルスを撒き散らす計画が今もなお進行中です」


そう言われると、東京と千葉以外では報告例はなかった。

今までは関東近辺のみの出来事だったものが、いよいよ全国で起ころうとしているのだ。


トキマサがその侵略計画についての手順を聞くと、花一はメガネを薬指で少しだけ上に押し上げた。


「ウイルスは現在ワクチン用の注射として製造されています。これを各地方の主要都市に運び、感染症予防を謳いながら予防を受けに来た人たちに注入していく、ただそれだけです。現在はまだ製造期間ですから、阻止するなら今しかありません」


トキマサはキーボードをカタカタと打ち込み始めた。

リクが手をポンと叩き口を開く。


「そうとなれば話は早いね。生産工場か何か分かんないけど、乗り込んでメチャクチャにブッ壊せばよくない?」


花一は少し黙り込んだ後、またメガネを押し上げると軽くため息をついた。


「それが、そう簡単にもいかないのです」

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