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初任務 5

ああ忙しい。だが暇を見て書いていくぞ。

「よし……やっとできたぞ!」


警察署の3D解析もようやく完了し、イヤホンマイクを繋いでナオヤに指示を出そうするが、ナオヤはかなり不機嫌な様子だった。

それもそのはずである。


「遅いんですけど」


そう言ってナオヤは通信を切ってしまった。

何も知らないトキマサは後ろの座席に座っているシュウとコースケに聞いてみるが、2人も呆れた様子だった。


「まさか気づいてなかったとは」

「さっき警察に見つかってナオヤすごいこっちに連絡してきてたんですけど」

(それならそうと言ってくれれば……)


トキマサは冷や汗を握り、気まずそうに下を向いてハンドルに額を押し当てた。



一方ナオヤは細く薄暗い通路を何度も往復しては頭を抱えていた。

どこを探しても地下一階より下に行くための階段もエレベーターもないのだ。

通路には一定の間隔でいくつかドアがあり、それが何の部屋なのかは何も書いておらず、入ろうと思えば入れるがためらってしまう。


(どこだ?リクはどこにいる?)


不安と焦りが凄まじい早さで募っていくのをナオヤ自身も感じていた。


「地下3階から1つだけ生態反応が出ているというのはもう分かっていることなのに……異常に強い脳波だ、リク君で間違いないのに……」


トキマサはもうリクの居所が掴めているのに、通信を拒否されて伝えられないもどかしさと、さっきちゃんとナオヤのことを見てやれなかったことの罪悪感を感じていた。


「まあナオヤはそういうとこうるさいと言いますか、結構厳しいっすね」

「流石に意地張りすぎな気もするけどな……」


シュウは運転席に身を乗り出し、トキマサに提案する。


「大体場所分かりましたし、俺とコースケで手伝いに行っていいすか?」


正直、トキマサもそれが一番手っ取り早いと思っていたところだった。


再び車を出て警察署に入ろうとするが、中はさっきの何倍も忙しそう、というよりかはバタバタしている。

署長室での会議中に超重要極秘書類が丸々消えたことが一番の要因だった。


「どこにもない!探せるところはすべて探したのに……」

「そんなわけあるか!持っていた紙が一瞬で消えることなどあり得ない!」


シュウとコースケは2つの自動ドアのガラス越しにその様子を見ていた。


「とりあえずあれ全部静かにできる?あとは俺やるわ」

「わかった」


コースケは受付で騒いでいる警察官たちを一瞬で黙らせると、適当に2人を操って自動ドアを開け、シュウがすかさず中に侵入する。


まず地下1階に来たシュウは、薄暗い通路を小走りで進んでいく。

するとまるで彷徨う亡霊のごとく歩き回っていたナオヤとぶつかる、ことはなくこれも見事にすり抜けた。

互いに驚いたが足元が狂い前に倒れたシュウを見て、ナオヤは手を貸して起き上がらせる。


「何やってんだよ、お前はもう任務終わったんじゃ?」

「あぁ、あのじいさんさっきから警察署の3D解析?みたいなのずっとやっててさ。やっとそれが終わってナオヤに指示出そうとしてたのに、そっちに目がいってナオヤが警察と対峙してた時気づけなかったって後悔してるみたい」

「え……」


シュウは淡々と続ける。


「前からナオヤはなんつーか、責任とか正義とか義理とか、そういうのにうるさいのは知ってたけどさ。我慢ってのも覚えた方がいいんじゃないかなって。実際俺はこうして出向いて、上ではコースケがまた警察たち静かにさせてくれてる」


ナオヤはいきなりシュウが怖くなった。

いつも近くにいる存在が、どこか自分とはかけ離れた全く違う人になってしまいそうな気がした。

今は目も見ることができず、ただその口から投げつけられる正論を聞き入れるしかなかった。


「うん……ごめん」

「今はまあいいや。早くリク助けて戻ろうぜ」


シュウは通路の一番奥のドアノブを破壊すると、ナオヤを連れてその部屋の中の隅にある、下に降りるための梯子を降りる。

そして地下2階に降りると、そこには想像もしない光景が広がっていた。


「うわ……なんだコレ、キモいな……」

「こんなのが警察署の地下に……?」


壁には透明な箱が敷き詰められており、その中には真っ黒で得体の知れない何かが入っていた。

何かはよく分からないが、近づいて上から下までをよく見たシュウとナオヤは嗚咽した。

上の方には丸い何かが垂れ下がっており、左右の側面からは細長い折れ曲がった棒のようなものが出ている。

下の方も途中から分離して細い折れ曲がった棒のようになっている。


それが地下2階の壁にはズラッと数え切れないほど綺麗に並べられていた。

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