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初任務 1

シュウとコースケが警察署の方へと歩みを進めていく。

ナオヤはマンホールの上に立つと、力を使いマンホールの下へと降りていく。

トキマサはその様子を脳波レーダーで3次元的に観察しながら見守る。


「よし、早速始めるとしようか」


トキマサはマイクに話しかける。


「まずは地上の二人。ある程度近くまで行ったらコースケ君は警官を片っ端から操ってくれ。そして警官を一人か二人、外から中に入るようにしたところでコースケ君はその場で待機、シュウ君はその隙間を抜けて中に忍び込むんだ」


シュウが質問を返す。


「俺がそのままドア開けて入ったらダメなんですか?」

「警察署は自動ドアが二重になっているから、速く動いたところでドアはシュウ君のスピードについていけない。防犯カメラに映る事だけは何としてでも避けなければいけないから、ここはコースケ君との協力が必要不可欠なんだよ」


トキマサは念には念を入れていた。

というのも、防犯カメラがあちこちに設置されている以上は警察がリクを確保したところでそれが全て筒抜けになっているため、何かあったら警察側も言い逃れが出来ない。

トキマサは元政府関係者というのもあり、地下には一般公開されていない極秘の研究施設があることを知っていた。

だからといって、資料や関係のある書類が保管されているのが地下ではない可能性も大いにある。

だから上も下も調べることにしたのだ。


「わかりました」

「やってみます」


シュウとコースケの返事を聞いて、トキマサはナオヤにも指示を出す。


「ナオヤ君は下水道に降りたら左にひたすら歩いて行ってくれ。そのうち別のマンホールが上に出てくると思うが、そこは警察署の地下のすぐ隣に繋がっているから、まだ地下には入らずに待機していてほしい。臭いだろうが、すまない」

「ヴォエェェッッッ……ゲホッ、了解……です」


こうしてそれぞれの任務が始まった。



——シュウとコースケ


「いいか、ドアが2つとも一番開いてる状態で入るんだぞ?中に入ったも絶対にその速さを止めずに、証拠や資料が保管されている部屋があるはずだから、そこを片っ端から調べていって薬に関することや世間には公開出来ないような資料があれば持ってきてほしい」

「えっ、それ盗みじゃ……」

「そんなことを言ってる場合じゃないんだ。刻一刻を争う事態になってからでは遅いんだ……!」


シュウとコースケは目配せをすると、互いに軽く頷いた。


「わかりましたよ。取ってくりゃあいいんでしょ、取ってくりゃあ」


シュウの体が少し青白く光を帯びる。


「じゃあコースケ。頼むよ」

「はいよ」


コースケは目を閉じ、警察署の前にいる警察官の脳波を一人一人感じ取っていき、その脳の制御権を一瞬で掌握すると、警察官たちは一斉に動きを止めその場にフリーズした。


(中に入れ)


そう念じると一人が間の抜けた顔で中に入っていく。

コースケはその操っている警察官の視覚を自分に共有し、外内両方の自動ドアが開いたことを確認する。


「両方開いた」

「んじゃ行くか」


そして吹き抜ける疾風の如くシュウは警察署内へと入っていく。

シュウから見て世界の動きはほぼ止まっている訳だが、いざ目の前を堂々と通り過ぎるとなるとシュウはその何とも不気味な不安に震えた。


(大丈夫。周りには俺は速すぎて見えてない、はず……てかちょ待って?!)


ここで1つ重大な見落としに気づいてしまった。


(もし自動ドアが閉まったら、俺出れなくね……?)


そう、今開いているドアが閉まり切る前に取れるものを取ってこなければ、コースケが再び開けてくれるまで外に出られないのだ。

仮にコースケがシュウの思考に気づかなければ、閉じ込められることにってしまう。


(いやいくら俺でも間に合わなくね?!だって……)


自動ドアが開いてから閉まるまでは約3、4秒程度。

離れていては閉まり具合が分からないので定期的に自動ドアを確認しなければならない。

かなりのタイムロスを考慮しての、5秒もない作戦。

シュウは手に汗を握りしめた。


(初任務でこれはキチィ……バレたら終わる)


ドアが全開なことを確認して、まずは一階の受付の奥に入り込み棚を手当たり次第に漁ってみるが手応えがまるでない。

あるのは落とし物がどうとか、届け先の住所や電話番号を書いてもらうための紙ばかりだった。

ここには重要な参考書類などは無さそうだと早めに終わらせたシュウは、痕跡を残さないよう全てしっかり元通りに戻してから次に移る。


(1階は案外ショボめか?って、何階まであんのこれ普通に無理だろ?!)


ドアを確認すると、心なしか少し閉じたように見える。

今はどうってことなくとも、これが後になって積み重なっていくと、もう取り返しがつかなくなるものだ。

急激な焦りと恐怖を覚えたシュウは、一旦コースケのところに戻って力を解除する。


「うわっ、もう終わったの?」

「っハァ、無理……色々無理があるってコレ……」


トキマサはイヤホンマイクでシュウに確認を取る。


「何かあったか?バレてないだろうな」

「あの、普通に無理ッス……俺の速さでも足りないし、どこに何があって何の部屋がとか、分からないことが多すぎる……」


トキマサはちょうどキーボードを忙しなく打ち込んでいる最中だった。

そしてエンターキーをパチンと弾くと、ニヤリと笑みを浮かべた。


「すまんすまん。今ちょうど防犯カメラをハッキングしたところだ。もうちょい待ってな」

「すげえな……」


署内の様子に見たところ異変はないのを見て、ひとまずバレてないことを確認すると、トキマサはほっと胸を撫で下ろした。


「チッ……マヌケそうな連中ばかりだが、薬を押収した警察署はここなんだ……何かしらワシの道具や書類があってもおかしくは……ん?何だ?」


署長室にて数人が何やら真剣に数枚の紙を机に置き、交互に見つめ、話し合っているのが見て取れた。

また、証拠保管室の床にジッパーの袋に何か入っているものが落ちているのも確認すると、トキマサは唇を噛み締めた。


「あれは何の書類かは分からんが怪しい……そしてあの袋に入っているのは間違いなくワシの道具だ……」


親の顔よりも自分の顔よりも、空の風景よりも見てきた研究道具をトキマサは見間違えるはずがなかった。

書類のことよりも、自分の子供の様に可愛がってきた研究道具があまりに粗末に扱われていることに腹を立てていた。


「シュウ君……2階の署長室と3階の証拠資料保管室だ……そこに行けば自ずと分かるだろう……」


シュウはその言葉でさっきよりもやる気が出た。

行き先さえ決まっていれば、後は調べる手間が省けるからだ。


「コースケ、もっかい頼む」

「はいよ」


シュウは再び署内に入り込むと、2階に上がり署長室の扉の前に立った。

ノブに手を掛け、そっと回してそっと開けると、静止した複数のオジサンたちは、何やら会議をしている最中のようだった。

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