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見えてくるもの 4

トキマサは来た道をそのまま戻り、地上の駐車場まで来ると、車のキーで解錠し3人からマスクを回収した。


(これが無意味であって欲しいが、念には念を入れておかないとな)


トキマサは脳波を辿ったときと同じように、遠方に強い反応があるかどうかをレーダーで調べる。

そしてその情報が車のナビに表示されると、トキマサはアクセルを踏んだ。


「こりゃまた厄介な場所に連れて行かれたもんだな。別の研究支部でしかもサツが大きく関与しているときた」


3人はあの夜のことを思い出した。

一定間隔で止まっていたパトカーに違和感を覚えていたが、やはり警察も何らかの形で関与していたということになる。


「大丈夫、何とかなるだろ」


この中でもシュウは特に落ち着いており、謎の自信に満ちていた。

トキマサは信号待ちで止まると、その隙に3人に左耳専用のイヤホンマイクを配った。


「常に付けておいてくれ。何かあったら、ボタンを押している間だけ声が届くようになっている」


首元にマイクを固定できるようになっており、何かあれば遠隔でやり取りができるようにとトキマサが用意しておいたものだった。


「本当はコースケ君経由でやりとりできればいいんだが、慣れるのにはまだ少しかかるだろうからな。あとシュウ君は力を使う時はあまり付けない方がいい。空気の摩擦で灰になってしまう……あっ」


トキマサはシュウの衣服も同じであるということを忘れていた。

だが一応用意はあるため、信号が変わったので後で渡すことにした。


「いいか。基本的にワシが司令塔となって君たちに指示を出す。だから君たちはその指示を聞いて動いて欲しいんだ」


ナオヤは頷きながら車の窓の外を眺める。


「なるほど、チェスみたいな感じか。面白くなってきたじゃんか」


シュウも興奮気味だった。


「なんか刑事ドラマみたいですげー!なんか俺らかっこよくね?!」


コースケは緊張と不安でビビっていた。


「うぅ……殺されたりとかないよね……?嫌だよまだ高校生なのに……怪我もやだぁ……戦いとかやだよぉ…………」


そんなこんな話している内にナビの範囲内に一箇所赤い反応が見えた。


「そろそろか……近づきすぎても危険だ。ここからはワシは車に残って指示を出すから、君たちは歩いて行ってくれ。あとシュウ君は……って、とりあえず皆コレを」


動きやすく防護性の高い生地の衣服を3人に配った。

服は無地でシュウは青、コースケは黄色、ナオヤは緑が基調の、ヒップホップなどで着られるような少しダボッとしたTシャツとジーンズのラクなデザインだ。

トキマサ曰くサイズをあまり気にしなくて良く、動きやすいからそうしたとのことだった。


「あの……俺力使うと靴が消し炭になっちゃうんですけど……」


ただシュウはその力の強さ故に悩みも多い。

現段階ではトキマサも靴は用意できていないとの事だったので、シュウは車内に靴を置き、裸足になった。

こうして3人は車を降りると、イヤホンマイクでトキマサの指示を聞きながらリクの救出に向かう。


「うえぇ、俺の足超きたねぇなぁ……」

「ほら、集中しないといつ何が起こるか……」

「とりあえず静かに歩いたほうがいいかもってのはあるな」

(にしても、あれはどういう意味なんだ……?)


ナオヤはそんな事を考えながら歩いているせいか、頭がボーッとしていた。


実は車を降りるとき、トキマサはナオヤを呼び止め研究室で言おうとしていた事を伝えたのだった。


「まだ確信は得ていないが……さっきの解析結果でおかしなことがあってね」

「え……というと?」

「解析前と解析後で採取した細胞の数が変化していたんだ……解析後にいくつか細胞が無くなっていたんだよ」


ナオヤからしてみれば確かにおかしいかも知れないが、それがどうかしたのか?という程度だった。

だがトキマサは真剣に話を続けた。


「意味が分からないだろうが、今はまだ何も言えない……言える事があるとするなら、君にはまだ秘められた別の力があるかもしれないということだ……」


衝撃の事実だった。

透過、透明化、もしかしたら擬態もできるというのに加え、まだ別の力があるという。

そして1番気になる引っかかることをトキマサは真面目に口にした。


「そしてその力はいつかこの世界を救う唯一の鍵となるだろう。これはワシとナオヤ君だけの話だ。コースケ君にバレると良くないから、コレを被っておくように」


————


「ところでその帽子はなんだよ。ナオヤだけずるいぞ」


唯一ナオヤだけがキャップを被っているのを見て、シュウは妬みを零していた。


「ん?あぁ……いや、一応そういう年頃というか?見た目も気にするだろうってなんかくれたんだよ」

「ふーん……」


コースケはナオヤの思考が読めないわけではないが読みづらくなっていることに少し違和感を感じつつも、完全に遮断はされていないとそこまで気にすることはなかった。


(もしこれからナオヤ君の力に変化が起きたり、変だと感じたらすぐに教えてほしい。これはナオヤ君の安全のためでもあるし、みんなの安全……いや世界の安全……均衡を保つためでもあるんだ)


「…………」

(にしても急すぎるし、規模がデカすぎやしないか?ゲームで例えるなら守備サポートって感じで火力はゼロに等しい俺の力が、世界を救う……?)


『にして……がデ……や……いか?……なら……備サ……火……ロに……い俺の……界を……う……?』

(おかしい。ナオヤの思考だけ所々ノイズみたいなのが入る……あの帽子被ったからだろうけど、何でだ?)


コースケは横目にナオヤを見ながら、黙って歩く。

そこでイヤホンマイクからトキマサの声が聞こえてきた。


「あ、あー……聞こえてるか?もうそろそろだ。近くに警察がいるかも知れんからここからは手分けしてもらうぞ。ナオヤ君はすり抜けでマンホールから地下を通って行ってくれ。シュウ君とコースケ君はそのまま進んでいって大丈夫だ」

「「わかりました」」

「うぇ、地下って……マジか……」

「初めての任務……とでもいうか。とにかく頑張ってくれ。ワシも頑張る」


3人は足を止め、互いに向き合って別れを告げる。


「大丈夫。ゾンビだって倒せたし、力合わせれば怖いもんなしよ」

「うん、それに一応殺したくても殺せない存在らしいしね……ハハハ……」

「ま、俺たちはもうただの人間じゃねえからな。サッサとリク助けて帰んぞ」


ここでシュウとコースケ、そしてナオヤに別れ、初の任務が開始する。


その先に待ち構えていたのは……警察署だった。

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