灯台下暗し 5
B4と表示された階に着きエレベーターのドアが開くと、長い廊下がずっと奥の方まで続いている。
トキマサは無言で先頭に立ち、つかつかと歩いていく。
ある程度進んだところにあったドアの前で止まると、そのドアを開け3人に手で先に入るよう促す。
「ようこそワシのラボへ」
「あれ、この部屋知ってるかも」
コースケが咄嗟に机の下に隠れたあの部屋だった。
どうやらここはトキマサの部屋だったようだ。
「あの、ちょっといいですか」
突然ナオヤが切り出した。
「結構聞きたいことあるんですけど、まずどうやって学校まで来れたんですか?GPSか何か埋め込まれでもしないと、追跡とかできないと思うんですけど」
トキマサはさっきまでの険しい表情を一気に緩め、得意げに答える。
「なぁに、んなもん埋め込んだりしてないしその必要もない。何を隠そう、君たち3人の脳波を辿ってきたんだ」
「「「脳波?」」」
「そう、脳波だ。生物は皆脳から各組織に命令を出して体を動かしているが、その時に脳は微弱な電気信号を発していてねぇ。あの薬を打たれたモンはその脳波が強くなるって事が分かってる」
3人は頭に?がいくつあるか分からないがとりあえず頷きながら話を聞いている。
「それに、あの薬を打たれたモンは皆普通ではあり得ない力を使えるようになるだろ?それこそ発される脳波が普通とは根本的に変わってしまうから起きることなんだ。つまり、あの薬は狙った力を使えるようにするために脳波を変化させる薬っつうわけだ」
トキマサは懐から取り出したよく分からない機器をゆらゆら揺らしながら説明する。
「4人の一般人連れてきて、ワシが丹精込めて作った中々の傑作を打ち込みやがって……心配になったからこれでずっと探してたら、まずは君たち3人を見つけたんだが、肝心の2人目がなぁ……」
(科学者気取りのヘッポコクソジジイってこの人か?)
それにシュウが反応した。
「リクのことですよね?!リクは見つけられないんですか?」
トキマサは落ち着いた様子で答える。
「まあ待て。焦らんでも心配は要らん……君たち4人は殺したくても殺せない存在になってしまったからな……」
ナオヤは眉を顰めた。
「意味が分からないです……何もしてないのに急に変な部屋に連れてこられて、薬を打たれて……変なゾンビもいるし……それにあなただってそうだ、何者なんですか?!何が起こってるっていうんですか?!それを知る権利が俺たちにはあるはずでしょう?!」
トキマサは真面目な顔になったかと思うと、一筋、また一筋と涙を流し始めた。
「ああ……確かにその通りだ。君たちには知る権利があるし、あの薬を作ってしまったワシにも責任はある……だが事の発端は全て——」
「何であなたが……っ、泣くんですか!!!俺たちだって……っ、ずるい!!!」
トキマサも3人も、皆涙を流していた。
「——あいつらが悪いんだ……全てを裏で牛耳って、自分達だけは美味いところだけを持っていこうとする……あの腐った政治家気取りのクソ野郎共がな」
トキマサはそう言い放つと、全てを3人に伝えようと順を追って過去の話をし始めるのだった。




