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灯台下暗し 4

その"不審者"は近くで見てみると確かに老人ではあるが、ヨボヨボの小柄なジジイとかではなく、ただ白髪で少しシワが入っているぐらいで、背もそこまで低すぎず、健康的な中年辺りにも見えなくはなかった。

ただ喋り方が多少アニメなんかで出てくる老人チックで慣れない3人からしたらちょっとウザい程度だ。


「あー、っとここではまず名前だけにしておこうか。ワシの名はトキマサだ。これからそれなりに長いこと世話になるから、よろしく」


3人は開いた口が塞がらない。

そのトキマサという男はコースケの方を向きニコッと微笑む。


「さっき聞いてしまったが、君はコースケ君だね?その力から見るに被験体03として薬を打たれてしまったはずだけど、合ってるかな?」


コースケは半ばトキマサを疑いながらも首を縦に振る。


「そっちの2人にも、名を聞いて良いかね?」


コースケだけ知られたままも良くないと、シュウとナオヤは顔を見合わせ頷くと一歩前に出て名乗り出る。


「俺はシュウって言います。俺も薬打たれて、めっちゃ速く動けるようになりました」

「自分はナオヤって言います。自分も薬打たれたら体が物をすり抜けるようになりました」


トキマサは大きく頷きながら手を何度か叩いた。


「ほうほう、ならばシュウ君は被験体01、ナオヤくんは被験体04か。でもおかしいな、被験体02がいないぞ?君たちの友達じゃなかったのかね?」


3人は暗い表情になり、大きなため息をついた。


「実は昨日皆で合流出来たんですけど、あいつだけまた行方不明になっちゃって……今は連絡もつかないんです」


トキマサはその優しい口調とは裏腹に背筋も凍るような恐ろしい舌打ちをした。

3人ともその舌打ちに体を震わせた。


「そうかそうか……まぁ、こんなところでは気も休まらんだろう。いいところがある、ついてきなさい。他にも話さないといけないことが山程ある。ここだと誰かに聞かれちまうかもしれんしな」


こうして3人は学校を途中で勝手に抜け出し、トキマサについていくのだった。

数分歩いたところに車があり、トキマサはその車に乗るように言うと、3人は疑いながらも後ろの座席に乗り込む。


「シートベルトはちゃんとするんだぞー」


車を出したトキマサは何かを見据えたような、険しい表情をしていた。

景色が流れていくにつれ、ナオヤはどこか見覚えがあると思い前方に聳え立つ巨大な建物を目を凝らして見てみると、それは自分たちが誘拐される時に連れてこられた国営ホテルだった。

トキマサはホテルのエントランスの手前のブロックで左折し、裏に回り込むと近くの駐車場に車を停めた。


「あの……ここってホテルですよね」


コースケは何が起きようとしているか全く分からずトキマサに尋ねるも、「ああそうだ」としか返事がない。

ナオヤはあの地下の部屋に行くんだろうとある程度予想がついていたがなぜホテルなのか、そこだけが気がかりだった。

しかも国営となると、そこらのホテルとはまた違う豪華な威圧感がある。


(ナオヤはこのホテルを知ってる……?)


コースケはナオヤの思考を逃さず捉える。

だがコースケにも引っかかるところがあった。

トキマサが帽子を外した時は思考が読めたが、帽子をしている間は思考が読めないということに気づいた。

ちょうど今ナオヤの思考を読めたことから不調か何かだと思っていたが、原因はトキマサの帽子にあるようだとコースケは確信した。


「あと少しで着くが、これを着けておきなさい」


トキマサはそう言って3人に普通のマスクを配る。

3人は理由がわからずも言われるがままにマスクを付けた。


「後で説明するから今は黙って着いてきてくれ」


そう言って車を出ると、駐車場に繋がる裏口から4人で入っていく。

一行は階段で地下へと降りていく。

案内には地下2階までが表記されており、地下は全て駐車場になっているが、トキマサはひたすらに階段を降りていく。

3人は地上に車を停めたのに駐車場に行く意味が分からなかったが、黙って着いてこいという言葉を頑なに貫く。

地下2階に降りて来ると、続けてトキマサは階段の壁に向かって歩いていく。


「怖がらなくていいからとりあえず着いてきな」


そう言いながら壁をすり抜けていくトキマサを見て、3人は開いた口が塞がらないどころか、顎が外れそうになった。

ナオヤは特にビビりもせず、何食わぬ顔で壁をすり抜けていく。

シュウとコースケは恐る恐る壁に近づいていくと、感触がほぼないことに気付き後は普通に歩いてすり抜けていく。

抜けた先にはポツンとエレベーターがあり、トキマサはそれに乗り込むと3人に手招きする。


「何止まってるんだ、早く来な」


そして全員乗り込むと、トキマサはB4と書かれたボタンを押した。

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