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灯台下暗し 2

「じゃあな。また明日」

「おやすみ」

「またね」


シュウ、コースケ、ナオヤの3人は無事家の最寄りに着き、愛しの我が家へと帰っていった。


「リクのやつ、ちゃんと家に帰れたのかな」


そう不安ながらも、家に帰るなりナオヤはすぐ眠りについた。

シュウもコースケも、あれだけのことがあったのだから疲れていたのだろう。

リク以外はぐっすりと眠りについた。


「リクったらどこで何してんのよ、もう12時過ぎるっていうのに……」


リクの親は数時間前まで連絡の取れていた我が子が未だに帰ってこないどころか、連絡すら取れなくなったことをとても不安がっていた。


そして朝。

気付けばもう7時を過ぎていた。


「ンガァ?あぁ……はっ?!」

「ふぇ……?ん?あっ!!!」

「あ………………あぁ…………あっ」


3人とも完全に寝過ごした。


「「「やばい」」」


バッグやら荷物等は全てナオヤの家にあるので、シュウとコースケはナオヤの家に急いで向かう。

シュウはその力を使えることを思い出し、一気に緊張感が抜けていった。

と言っても、スマホがないのと学校に履いていく靴が灰と化した事を思い出し、別の緊張感がシュウを襲う。

シュウは瞬きする間にナオヤの家に行くと、靴を持ったまま玄関の戸を高速でノックする。


「おーいナオヤ起きてるか?学校だぞぉ」


ナオヤは慌てて玄関に飛んでいき、すかさず戸を開けた。


「なんでお前……あそうか、超速く動けんだもんな。わりい、これ荷物」


シュウは荷物を受け取ると、スマホと靴に関しての心配を話す。


「あぁ、まあスマホないのは確かにヤバいな。靴に関しては何とかなんだろ」

「そうなんだよぉ、スマホねえと誰とも連絡できねえし……それに靴だって、履いたまま力使うと摩擦かなんか分かんねえけど燃えて灰になっちゃうんだよぉ」

「だから裸足で靴持ってんのか。シュウも大変だな。……でも確かに、靴はいいとしてスマホがないと今の時代ちょいきついよな」


ナオヤはふと何かを思い出す。


「家にもう使わないキッズケータイあるけど」

「え……まじで言ってんの?」

「貯金とかあるなら安いスマホでも買えば良いだろ。2万ぐらいで買える」


シュウは無料のキッズケータイか、有料のスマホかで右に左に思考が揺れ動いていた。


「一旦保留で」

「あいよ」


一方コースケは朝ごはんも食べず制服にだけ着替えて息を切らしながらナオヤの家に向かって走っていた。


「あーもうダメ。疲れすぎて死ぬ」


そうして足を止め下を向いたコースケは、一瞬の強い風を感じた後顔を上げると、ナオヤの家の前で立っているシュウとナオヤに出会った。


「ちょ、うえっ?!」

「走ってたら見つけたからついでに連れてきたンゴよ」

「おはよ」


ナオヤは挨拶代わりにバッグを返す。


「あ、ありがと……そっか、シュウはすぐ来れるもんね」


コースケは辺りを見回す。

だがどこにもリクの気配はない。


「あの……リクは?」


シュウもナオヤも少し下を向いて黙り込んだまま、何も言わない。


「嘘、家に帰れてないってこと?」

「多分そう……でないと説明つかない」


コースケは頭を抱えて自分を責める。

というのも、改札で別れた後に急に感じ取ったリクの心の声に違和感を感じていたからだ。


(どんな薬を打ったか聞いてるってことは敵か?なんて例え独り言みたいなものだったとしても、急に考え出すのは不自然。そもそも疑問形の時点で誰かしら相手がいたに違いない……のに)


「俺が……戻ろうとしなかったから」


コースケの様子がおかしいと思った2人はコースケに尋ねてみるも、中々話そうとはしないコースケを見て、眉をしかめていた。


「何だよ、今更何隠そうってんだよ」


ナオヤがそう問い詰めると、やっとコースケは口を開き、昨日の改札での別れ際の事を話した。

シュウもナオヤも、それでコースケを責めるなんてことはしなかった。


「こうなった以上考えても仕方がない。かといってどうすれば良いかなんて尚更分からないけど……」


ナオヤはチラッとスマホを見て、そして2人にドンと突き出して画面を見せる。


「俺たちはもうすぐ遅刻だ」


そう言って突き出されたスマホの画面には8:29の文字が映し出されていた。

学校は8時半からで、普通なら遅刻確定演出となるところだが……

幸いにも彼らにはシュウがいた。


「「もう1回アレ頼む」」

「えーもうしょうがないなあ。んじゃ2人とも、腹に力入れてケツの穴ギュッと引き締めな。それと俺の靴よろしく」


コースケとナオヤに靴を片方ずつ持たせると、2人の腹と腰辺りのところに手を掛ける。

そして青い稲妻に包まれたシュウは2人が燃え尽きない程度の速さで、学校に向かって地面を蹴り出すのだった。

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