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違和感

「まあでも……な?襲って来てないんだからさ、さっさと帰ろうぜ。さすがにきついって」

「同じく。こっちから仕掛けるような真似はしなくていい」


リクは意味が分からずに眉をしかめて3人を順に見て教えてアピールをするも、中々気づいてもらえなかったのでついにちょいギレで尋ねた。


「ちょっと、さっきから何なんだよ。警察の考えが読めないってのはそんなにヤバいことなのか?」


コースケはやっとリクの方を見てコースケらしからぬ生気のない真顔で答える。


「そうか。リクはまだ知らなかったっけか」

「お、おう……」


リクはそのコースケの顔にビビりながらも唾を飲む。


「ここに来る前、1体のゾンビと出くわした。そのゾンビ、最初は思考があったのに段々と無くなっていったんだよ」


リクはここで何かを察した。


「……つまり、ゾンビ野郎どもには思考が無いってか?」

「そういう事。人間なら何かしら頭の中に思考があるからそれで区別できるんだけど……」


それでもパトカーの中の警察はこちらを見ることはあっても、特に何もしてこない。

気になる素振りを見せることもなく、ただじっとパトカーの中で辺りを見回している。


「でも多分俺らがゾンビ倒すとこ見られたよな?何か引っかかるんだけど」


シュウがそう言うも他の3人は何も答えることができなかった。

あまりにも急な展開に、分からないことが多すぎる。

そのまま4人の間で沈黙は続き、駅に着くと地下に行く階段を降りる。

改札を前にしてナオヤは1つのミスに気付いた。


「あっ……ごめんリク。お前の定期持ってくんの忘れたわ……」


リクは目を丸くして少し驚いた様子だったが、特に気にすることもなくニヒッと笑った。


「まあ大丈夫よ。お前ら3人は定期持ってんだから、早く帰れよ。俺はちゃんと帰れるから」


そうして改札でリクとその他に別れた。

少しトイレに行きたくなったリクは、駅構内のトイレで用を済ませると、階段を上がってまた外に出ようとするが、地上付近に差し掛かると男の声が聞こえてくる。


「はい、はい。ええ、確かに4人でした。見たところめっちゃ子供って感じじゃないですけど、結構若かったですね。まだ学生ってところじゃないですか?」


リクはそれがすぐ自分たちの話だと気づき、途中で足を止めた。


「何回かその中の1人と目が合いました。特に何も起こらなかったですけど、警戒してるんですかねー。こっちもまだ把握しきれてないんですけど、どんな薬打ったんでしたっけ?」


リクは全身を冷たい波が包んでいくのを感じた。

薬に関すること……つまりその特別な"力"の存在について知っているということはもう無関係ではいられない。


(どんな薬打ったか聞いてるってことは、敵か……?黒幕の一員か何か……?)


リクは壁際に寄ってできる限り話を聞き出そうと試みる。


「あーそうなんすね。それ結構マズいんじゃないですか?その薬確かうちらが管理してる中でもかなり貴重で重要なやつでしたよね?それ全部あの4人に使っちゃってしかも逃げられるって……」


リクは手に冷たい汗を握りしめて、息をも殺してその男の声に耳を欹てる。


「はい、もう分かってますよ。あの4人を捕まえればいいんでしょ。いや簡単そうに言いますけどね、使われた薬がまた厄介なんですって。できる限り早く捕まえてそちらに渡しますから、気長に待っててくださいよ。はい、はい……はい、失礼しまーす」


そうして男の声は止まった。


(……終わったか?)


リクは声の主を確かめようと、ゆっくりと、足音を立てないように一段ずつ丁寧に階段を上っていく。

そして上がり切るところで勢いよく飛び出すと、そこには駅にもたれ掛かってこちらを不気味に睨む警官がいた。

リクはその警官と目が合うと、警官は不気味な眼差しのままニヤリと笑うのだった。

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