表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/30

下校—シュウの場合

シュウは目を覚ました。

薄暗くて冷たい、狭い部屋の中。

脳に直接届くような、むせ返るようなツンとした匂いが漂う部屋の中。


「これで良かったっけか?」


映画とかでよく見るような針のついていない注射器のようなものを持った、ゴツいマスクを付けたヤツがシュウのほうを向くと、ちょうど目が合った。


「何だ、起きてんのかよ。ヘッ、どうなるか見物だぜ」


シュウはぐちゃぐちゃな顔でやめてオーラを出すも通用せず、頭を押さえられ首にその注射を打たれた。


「うぅ……っあああああ!!!!!!」


打たれたところから1秒も経たず全身に痛みが回っていく。

全身が痙攣し、体の制御が完全に効かない。


「ああああああ!!!!!痛い!!!痛いよぉ!!!」


苦しみもがくシュウを見て、マスクの男は違和感を覚える。


「あれ?何で全身痙攣して……あっ、打つやつミスった……終わったァ……」


マスクの男は頭を抱え、よろよろと後ずさりする。

そして唯一の光源だったライトにぶつかり、倒れたライトが薬品を運ぶローラーかごにぶつかって割れ、放電が起こった。


「あぁ!まずい!やめろこの!!」


慌ててマスクの男は倒れたライトをどけようとするも感電し痙攣して結局部屋中に薬品をばら撒いた。


「もう……どうにでもなれクソが……っがあああ!!!」


自暴自棄になった男は放電中の部屋でもなお苦しむシュウを無視して滅茶苦茶に部屋を散らかすと、電気を帯びた薬品にかかりその場で倒れてしまった。

一方シュウは痙攣が収まり、意識はハッキリとしていた。

シュウもかなり薬品を浴びたが気絶することはなく、どうやってここを脱出するかを考えていた。


「どうすればここか、ら……」


そう考えていた頃にはシュウは外にいた。

しかも大きな交差点のど真ん中で、ボロボロの服を着たまま裸足で立っていた。


「は?何で?どうなってんの?」


シュウは周囲の人々にスマホを向けられ、プライバシーフル無視で写真や動画を撮られまくった。


「あれ?そう言えばリクとコースケとナオヤは?」


もともと4人で下校している途中だったのだ。

気づいたら変な部屋にいたかと思えば今はこうして交差点のど真ん中に立ち尽くしている。


「……とりあえず帰るか?」


スマホもバッグも全て無くして今は何もできないと悟ったシュウは、嫌々ながらも歩きで家を目指すのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ