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彼方からの風  作者: 杉本敬
第2章
20/53

20.離婚

 部屋の中には、静かな緊張が張り詰めていた。障子越しの午後の

光が、床の間の花瓶の影を微かに伸ばしている。仄かに漂う白檀の

香が、場違いなほど穏やかだった。

 義父は、正座した沙也夏の目の前で黙っていた。両の手は膝の上

に置かれ、節くれだった指先がわずかに震えている。重ねた年輪の

ぶんだけ、言葉が慎重に選ばれていくようだった。


「──考え直してはくれんか。どうか、あいつを……一郎を、もう一

度立ち直らせてやってくれんか」

 その懇願は、父としての責任と、自責と、そしてわずかな希望の

混ざった声だった。だが、それを受け止めながらも、沙也夏の心は

もう揺れていなかった。


「……申し訳ありません」

 静かに、けれど確かに、彼女は首を横に振った。

「私では無理です」

 吐き出すような否定ではなかった。それは、長い沈黙ののちに、

自分の中で何度も確かめてきた答えだった。

 義父の表情が、わずかに陰る。


 その沈黙に、彼女は続けた。

「……私は、負債の肩代わりを条件に結婚しました」

 一語一語を紡ぐように、丁寧に言葉がこぼれていく。

「一郎さんのことは、好きでも嫌いでもありませんでした。けれど

──生活を共にすれば、いずれ好きになれるかもしれない。そう信

じて、自分なりに努力をしてきました」


 言いながらも、目の奥に浮かぶのは、かつての食卓の記憶。同じ

皿を前にしても、交わらない眼差し、触れ合わぬ沈黙。そのすべて

が、彼女の「努力」を静かに押し返していた。


「……でも、今回わかってしまったんです。──あの人には、人を

騙してでも金を得ようとする一面があると」

 声の温度が、少しだけ下がった。感情の揺れがあったというより

は、むしろ、今もなおその“発見”が彼女の中に冷たく沈んでいるこ

とを示していた。


「私は、ショックでした。本当に。それを知ってしまった今は、も

う“好きになるかもしれない”という可能性すら、自分の中で閉じて

しまった気がするんです」


 義父が、言葉を失ったまま、ただ黙って彼女を見ている。その視

線の先には、若い女性の決意ではなく、一人の人間としての限界と

誠実さが映っていた。

 沙也夏は、深く頭を下げた。そこには後悔も怒りもない。ただ、

静かに、自分の命を引き戻すための行為だった。


「もうこれ以上、一緒に生活を続けることはできません。──自分

自身ではっきりと、そう思いました」

 襖の外では、風が枯れた竹の葉を揺らしていた。それは、冬の入

口にあるような、鈍く乾いた音だった。ふたりの間に漂う静寂だけ

が、その日一番の返答だった。


 しばらくの沈黙ののち、義父は深くうなだれた。背筋の線は目に

見えて丸まり、胸に沈めた溜息が、こめかみのあたりで静かに震え

ていた。

「……わかった」


 その第一声は、重く、そして痛みを含んでいた。言葉を探すよう

に間をとりながら、義父は絞り出すように続けた。

「では私から──一郎に直接問いただす。……沙也夏さんを信用し

ないわけでは、もちろんない。ただ、あいつからも、真実を、きち

んと確かめたい」

 その声音には父親としての迷いと苦しみがにじんでいた。けれど、

それは同時に“逃げない”という意志の表れでもあった。


「一郎が……もし本当に詐欺まがいのことをしていたのなら──離

婚させる。本人が何を言おうと、離婚届には……判を押させる」

 喉を通るその言葉には、痛みがあった。息子の過ちを認めること

は、父としての誇りを削ぐ決断でもある。

「ただ……」義父は視線を床に落としたまま、静かに付け加えた。

「三日だけ、待ってほしい。……時間をくれ」


 沙也夏は、黙って頷いた。

 その三日が長いか短いかは、もうどうでもよかった。義父が自分

の言葉を受けとめ、目を背けなかった――その事実が、胸の深くに

届いていた。

 やがて義父はふいに顔を上げ、真っ直ぐ彼女を見つめた。

「それから、肩代わりの件は……もう気にしなくていい。あれは……

君に背負わせてはいけないことだった」

 その目には後悔と謝意が溶け合っていた。


「沙也夏さんは……じゅうぶん尽くしてくれたよ。感謝している……

本当に、ありがとう」

 その言葉が終わるのを待っていたかのように、沙也夏の瞳から、

静かに涙が零れ落ちた。それは激情の涙ではなかった。押し殺して

きた感情が、ようやく安全に流れ出す場所を見つけたことへの安堵

のしるしだった。義父の目にも、一瞬だけ、潤んだものが光る。


 三日間、家は静まりかえっていた。朝も夜も、時計の秒針だけが

淡々と時間を刻み、通りすがる車の音が時折、窓の外を横切るだけ。

 電話も鳴らず、玄関のチャイムも鳴らなかった。本橋は帰ってこ

なかった。


──おそらく、義父が彼を帰らせなかったのだろう。

 その事実の裏にある“配慮”に沙也夏は気づきながらも、心のどこ

かでまだ微かにざわつきを感じていた。けれど、自分の中で決して

変わらないものも、確かにあった。


 そして三日目の朝、午前十時をわずかに過ぎた頃。控えめなイン

ターホンの音が玄関の空気を震わせた。扉を開けると、義父が静か

に立っていた。顔には疲労の色が浮かんでいたが、眼差しには曇り

のないものがあった。

 玄関のたたきに揃えられた革靴をちらと見て、彼はゆっくりと口

を開いた。


「話は──ついたよ」

 そのひと言は、まるで三日分の沈黙を切り拓くようだった。彼は

上着を脱ぎ、リビングに招かれるまま座布団に腰を下ろした。穏や

かながらも、居住まいにどこか緊張が走っている。

 沙也夏は向かいに静かに正座し、義父の言葉を待った。


「沙也夏さんの言うとおりだった。一郎のやっていたのは──卑劣

な仕事だった」

 その“卑劣”という語が、室内の空気をいっそう引き締める。

「問い詰めても、最初はしらばっくれていた。だが、……沙也夏さん

が残してくれ証拠を突きつけたら──一気に顔が変わったよ。観念し

たんだろう。あっさりと白状した」

 義父はそこで一度、深く息を吐いた。額には、いくらか熱を帯びた

ような汗が滲んでいる。


「いまだに本人には何も反省の色がなかったが、それでも……もう、

これ以上は庇えん。父親としては情けない話だが、現実は見ねばな

らん」

 その声音には、諦めと悔しさ、そしてようやく真実にたどり着い

た静かな怒りがにじんでいた。


 続けて、義父は正面から沙也夏を見据え、こう尋ねた。

「沙也夏さん……考えは、変わらんか?」

──その問いは、最後の望みにすがるものではなかった。

 選択を改めさせるためではなく、最後の“確認”としての問いだっ

た。沈黙が、ふたりの間に細く長く流れた。けれど、その静けさの

中で、沙也夏の目は揺れなかった。もはや答えは、言葉を待つまで

もなく、そのまなざしに宿っていた。


「はい。……お義父さんには申し訳ないのですが……」

 言い切る前に、沙也夏は一瞬、声を震わせた。自分の決意が、誰

かの悲しみに触れるということ。それを受けとめるには、心にわず

かな痛みが伴った。


 だが義父は、遮るように静かに首を振った。

「私のことはいい。……そうか、わかった」

 その言葉は、責めでも、同情でもなく。ただ事実を確かに受け止

めた者の、静かな了承だった。

「……明日、家を出ます」

 そう告げた沙也夏の声は、決して強くはなかったが、揺らぎはな

かった。新しい朝を迎えるためには、今夜の眠りから目覚めること

が必要なのだと――そんな覚悟がにじんでいた。


「そんなに急がなくても……」

 義父の声は、わずかに名残惜しさをにじませていた。だが、それ

以上は何も言わなかった。彼もまた、わかっていたのだろう。これ

が決別ではなく、再出発であることを。


 沙也夏は、言葉を選びながらゆっくり話し始めた。

「…一郎さんは、変わってしまいました。最初に会ったときは、感

じのいい人だなと思ったんです。この人なら、暮らしながらきっと

好きになれるかもしれない、って。モータースポーツの世界で、一

緒に生きていけたらって……」

 そこまで言って、小さく吐息をもらした。回想の語り口に滲むの

は、後悔ではない。叶わなかった希望を、そっと土に還すような諦

念の色だった。


「でも、スポンサーから撤退してから……何かが壊れてしまったよ

うでした。人が変わってしまったみたいで。……その流れは、止め

られませんでした」

 義父は、眉間に深い皺を刻みながら、じっと耳を傾けていた。

 何かを返す前に、沙也夏の問いかけが続いた。


「お義父さん……ひとつ、質問してもいいですか?」

「ああ、いいとも。なんでも聞いてくれ」

「一郎さんは……最初から、モータースポーツのスポンサーの仕事

が好きだったんでしょうか?」


 その問いは、決して責める意図のあるものではなかった。ただ、

過去に抱いていた“信じた理由”を、最後にもう一度確かめておきた

かったのかもしれない。


 義父は、懐かしむように目線を少し上げた。

「そうだな……あいつは、小さいころから車が好きだった。物心つ

いたときには、レース番組ばかり見ていたよ。おもちゃも、プラモ

デルも、車ばっかりでな。……就職の時だった。“父さんの仕事、手

伝わせてくれ”って言ってきたんだ。あのときは……嬉しかったよ」


 目元がわずかに潤んだように見えたが、義父は淡々と続けた。

「あの頃、ちょうど会社にスポンサーの話が来てね。でも、うちの

社員にレースの経験がある人間はいなかったから、本当は断ろうか

と思っていた。ところが、先方が“モータースポーツ・マネジメント

に詳しい人材をつける”と言ってきて……要は、うちの資金力が目当

てだったんだろうな」

 そこには、いくばくかの苦笑も混じっていた。


「……でも、あいつが“やりたい”って言ってきたから。その目を信じ

たんだ。……最初は、確かに真面目に取り組んでいた。自分の情熱を

ぶつけるように……」


 そこまで話すと、義父の声がややかすれた。その“情熱”がいつし

か、別の形を取り始めていたことに、今ようやく気づいたかのよう

に。その静かな記憶の回廊を、ふたりはしばらく黙って歩いた。か

つての情熱と、今ある現実の距離。

 それは、父と息子、そして夫婦の間に横たわる、越えがたい川の

ようだった。


 義父は言葉を一度切り、背筋をわずかに伸ばした。瞳に、遠い記

憶の奥をたどるような光が宿っていた。

「……私は考えたんだ。そして、決断もした」

「一郎にやらせてみてはどうかと、な……」


 その声には、いまだ自問の余韻が残っていた。父としての期待、

経営者としての賭け――そして、血縁にすがりたくなる寂しさ。

 複雑な想いがその言葉に滲んでいた。


「一郎は乗り気だったよ。……あいつなりに、一生懸命だった。マ

ネージメントの勉強も、夜遅くまで机に向かっていた。少しずつ仕

事に自信もついていった。……だが──その後が、いけなかった」

 そこには明確な後悔があった。

“間違っていたのかもしれない”という思いを、口には出さずとも背

中で語っていた。


 それを受けて、沙也夏が静かに口を開いた。視線は伏せ気味だっ

たが、声はぶれなかった。

「……楽して利益が取れるビジネスだと、勘違いしてしまったんで

すね」

 その一言に、義父は思わず目を細め、そして頷いた。

「さすがだな。沙也夏さん……本質を見抜いている」

「……私は、実際にモータースポーツの泥臭い現場にいた人間です

から」


 その言葉の裏には、酸いも甘いも知る者としての自負があった。

 汗と焦げたオイルのにおいが染みついたような日々――華やかな

表舞台の裏で、何度も不安と隣り合わせだった時間。それらが、い

ま彼女の“確信”を支えていた。


「そうだったな……」

 義父は懐かしむように口元をゆるめ、しかしすぐに真剣な表情に

戻った。

「モータースポーツは、華やかな部分と汚い部分が隣り合わせだ。

うまくいっている時は、まるで金が湯水のように流れ込んでくる。

だが、ひとたび歯車が狂えば──すべてが傾く。社会的な変化や、

スポンサーの気まぐれ、事故ひとつで流れは変わる。金の流れが悪

くなれば、その影響は直撃する。一郎は……その現実を、見落とし

ていた。目を背けていたのかもしれん」

 言葉を噛みしめるように、義父は拳を膝の上で軽く握った。


「今回のようなビジネスに手を出したのも、楽して稼げると思った

のだろう。……あの子は、華やかさばかりを追ってしまった」

 重々しい沈黙のあと、ふっと息を吐くように、こう続けた。

「これからは──泥水を被ってもらうような仕事を、一郎にはして

もらうつもりだ。地を這うような仕事だよ。本当に“立て直す”とは

どういうことか、身をもって学ばせねばならん」

 そして、少しだけ間を置いて、義父はゆっくりと顔を上げた。

「……沙也夏さん。一郎を立て直すこと、もし願わくば手伝っても

らえたらと、そう思っていた。けれど──あんたの気持ちが第一だ。

それを、私は何よりも尊重する」


 沙也夏は、しばし黙った。けれど、その表情には迷いはなかった。

「……申し訳ありません。お義父さん」

 彼女の言葉は穏やかだったが、深く硬く、揺るぎなかった。そこ

に込められていたのは、冷たさではなく──自分の人生を、誰の影

にも置かないと決めた、ひとつの祈りのような静けさだった。


 翌朝、まだ薄明るい空の下で、沙也夏は本橋家の玄関に立ってい

た。持ち出した荷物は、小ぶりなスーツケースひとつと、手提げ袋

だけだった。

 見慣れた玄関の敷石、少しかすれた表札の文字、廊下に漂う朝の

匂い――それらが最後の記憶として彼女の感覚に沁み込んでいく。


 ドアノブへ手を伸ばした瞬間、不意に頬を伝うものがあった。

「……涙?」

 なぜ涙が出たのか分からなかった。

 ただ、胸の奥のどこかがじんわりと熱くなっていた。強いて言え

ば、この家にすら、確かな生活の重みがあったからかもしれない。

 台所で煮物をこしらえた日の記憶、雨音を聞きながら静かに読書

をした夜――そうした些細な断片が、今になって音もなく胸を打っ

た。けれど一郎への想いには、何の名残りもなかった。


 情ではなく、呆れと軽蔑だけが心の中に冷たく横たわっていた。

 むしろ、自分はずっと「離婚する理由」をどこかで探していたの

かもしれない――そう気づいたとき、不思議なほど心が軽くなって

いた。背中に乗っていた重さが、すっと剥がれていくようだった。


 けれど、自由になった今、どこへ向かうべきかは決まっていなか

った。東京での暮らしは三年。利便性はあったが、高層ビルに囲ま

れても、心は満たされなかった。福岡とは街の速度も、空気の柔ら

かさも違っていた。


 ひとまずビジネスホテルに一泊することにした。新橋の高架下を

通り、コンビニエンスストアで惣菜と小さな缶ビールを選ぶ。部屋

に戻り、洗面台の明かりでメイクを丁寧に落とすと、照明を落とし、

ひとりベッドに横たわった。天井を見上げるまでもなく、瞼の裏が

重かった。スマートフォンの通知にも手を伸ばさず、ただ身体を横

たえる。


 意識が沈むまで、ほんの数分もかからなかった。

──ここ数日は、自分らしからぬ言葉を口にし、自分ではないよう

な行動をしていた。けれど、それが「本当の自分」とどう違うのか

も、今はもうわからなかった。誰にでもある。人生の分岐点。立ち

止まり、迷い、決断する瞬間。


 沙也夏もその岐路に立ち、ようやく歩き出したばかりだった。

 その選択が正しかったのか。――答えは、まだわからない。

 けれど、眠る前にふと零れ落ちた、かすかな安堵の息。それが、

きっとすべてを物語っていた。


 午前中の便は順調に離陸した。窓の外に広がる雲の海はまるで、

決意と不安の間を漂う心の風景のようだった。離陸直後はわずかに

晴れやかだった気持ちも、機体が九州へ近づくにつれ、次第に重た

く沈んでいった。


──これから、どうすればいいのだろう。

 その問いが、心の奥でゆっくりと立ち上がる。


 本橋家を出ることだけを目的にした今回の行動に、先の見通しは

まだなかった。当面の生活費は、元義父が手配してくれた慰謝料で

なんとかなる。けれどそれは一時しのぎにすぎない。

 “生活”としての自立までは、まだいくつものハードルがあった。


 空港に降り立つと、久しぶりの福岡の空気が胸に広がった。湿り

気を含んだ風が頬を撫で、頭上では白い雲が緩やかに動いている。

──ああ、戻ってきたんだ。

 二年前の父の三回忌以来の帰郷だった。


 地下鉄の冷たい手すり、私鉄車両の揺れ、改札の音──何気ない

ものひとつひとつが懐かしく、でもどこか遠く感じられる。

 最寄り駅に降り立つと、子どもの頃に見慣れていたはずの街並み

が目に飛び込んできた。けれど、その景色の中には、確かに“変化”

もあった。以前よく行った文具店が空き地になっていた。角のパン

屋は名前を変え、看板のデザインも今風になっている。

「……街も、少しずつ変わってきているんだなぁ」


 心の中でそうつぶやいた瞬間、自分自身も“変わった”側の人間で

あることに気づいた。もう、ここにいたころの自分ではない。それ

を受け入れるのには、もう少し時間がかかりそうだった。


 時計を見ると、ちょうど正午を過ぎていた。旅の緊張感がほどけ

たのか、急にお腹の空きを覚える。

 駅前のニコンビニエンスストアで、卵サンドとペットボトルの水

を手に取り、会計を済ませると、のどかな昼下がりの街を歩き出し

た。


 小さな坂道を上り、角を曲がると、見慣れた門と引き戸のある自

宅が見えた。門柱の錆は少し増え、垣根の剪定も行き届いていない。

 それでも、その風景は“帰ってきた場所”として、静かに佇んでい

た。


 玄関の鍵を回し、引き戸をそっと開ける。

靴を脱ぎ、廊下へ一歩踏み出したとき、思わず口をついて出た。

「……ただいま」

 誰に向かってでもなく、無意識に出たその声。その響きだけが、

室内の空気を小さく振るわせた。返事はもちろん、どこからも聞こ

えてこない。けれど、その静けさは寂しさとは少し違った。帰る場

所があったということ、ただそれだけでも、今の自分にとっては確

かな救いだった。


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