6:Cさん、Aを狙うって side C
side C
お昼休みにケー君に林間学校のグループ参加を伝え、仲良くしてる皆に伝えた。
クラスではその後、その話題でもちきりだ。
午後の授業に入った今でも、私の方に視線を向ける男子生徒がいるくらい。
あれだけ参加を断っていたCさんがケーのグループに決めたって!
まさか、ケーだから決めたんじゃないだろうな?
休み時間には周囲でそんな話題が上がりながらも、いやいやケーだし、とケー君の話題は鳴りを潜める。
じゃぁ何でだ?Aとは最近は殆ど話さなくなったよな?
今からケーのグループのオーとAのどちらかに…Aなら押しまくれば代わってくれるんじゃね?
なんて声も上がっていた。
皆は私がなんでA君とクラスで話さなくなったのか分かってない。
そうやって皆がA君をネタに近寄ったり、A君をからかったから。
私は別に気にしないけど、人一倍、他人の顔色に敏感なA君は何気ない言葉にも傷ついてしまうかも知れない。
A君はあの時だって、困っていた私を気遣い、見返りも求めず行動してくれた。
本人は気付いてないみたいだけど…
今も変わらずそういう人なんだ…
私の行動のせいで嫌な思いは、息苦しい学校生活はして欲しくなかった…
だけど、その気持ちがクラスメイトには理解されてないだろうし伝えてもいない。
それこそ火に油を注ぐ結果になりかねないし…
けれど意図的に距離を置いたとしても、正直に言えば最近の私はA君との時間がどんどん短くなってしまった事に辟易してる。
登下校で偶然を装ってや注目がない時だけなんて…
私だってもっと話したい!
けど、話してる内に元々女子生徒の友達にやってるように気持ちが昂り、スキンシップが出てしまう!
そしたらまた話題に上がりA君が萎縮しちゃう…!
そんな思考のループに迷い込んでいる事に気付き、はぁ…と息を吐く。
でも私だって…私だって!
A君ともっと遊びたいし!
学校行事したいし!
今までこっそりこっそりだったせいもあって、私の友達にはほぼ相談せず独断専行で決めてしまった。
けど、他の男子生徒と林間学校楽しむよりA君が良い!
ベターじゃなくベスト!いやいや、マストかも!
A会話が著しく減っている私はまた思考が怪しくなってきた事に気付き、頭を振り友達にはどう言い包…理解してもらうか考える。
授業中だけど私もちらちらと左窓側席のA君を見てしまう。
今の席もA君が、窓際の最後尾は競争率高そうだし2番目が良いかな、といつか言っていたから可能性にかけて座った。
一緒に林間学校楽しもうね、A君…
そんな風に見ていたら左隣の世一伊良、イーちゃんと目が合う。
口をパクパクさせて何かを伝えようとする可愛い彼女。
ただ、全く分からず首を傾げるとイーちゃんは困ったように笑い頬をかき、自分のノートに書いた文字を指差す。
『あの件?』
先程は全く考えていなかったけど、生真面目で時々おっちょこちょいな彼女には他の友達より先に伝えてみようかな…
『うん。皆と班決めもせずに勝手に入っちゃったから…他の男子グループと参加したい子もいただろうなって』
『それについてはないと思うよ。狙ってるならそもそも私達との今までの話に出てるだろうし、個別で入っちゃってるだろうし』
『でも、気持ち隠してたり遠慮とか…』
『ないない。居たとしても被ってたら嫌だから、大体牽制で探り入れるって』
牽制…探り…
A君への気持ちをひた隠ししている私はもしかして少数派なのかな…?
牽制とかしておかないと免疫のないA君もなびいてしまうのだろうか…
今まで気にしてなかったけど、もしかして中学で告白してきた男子生徒が数人いたけど…
彼らを好きだった子は私に探りを入れて来てたのかな…
皆振ってたし、正直、そういう事を意識せず、部活に学業とやってた…
中学までは髪もミディアムストレートの黒髪、ピアスなんてした事も無かった。
当時の私が今の私を見たら驚くだろうなぁ…
あんな何気ない事でここまで変わった、変われた私を見たら…
イーちゃんが机をシャーペンで叩き、意識が戻る。
『それで、なんでケーグループなん?』
どう伝えれば良いのか分からない。
私の自分勝手な思いから参加しているとはいえ、今この場では伝えにくい。
文章で上手くこの気持ちを伝えられるのか分からない。怖い、と感じてしまう…
『放課後、駅前地下、フードコートでお願い』
絞り出して書いた文字は若干の先延ばしだった。
…
午後授業が全て終わりHRも終わり、合間の追求を有耶無耶に流して迎えた放課後。
さぁイーちゃんとフードコートだと二人で行く気満々だった私は呼び止められる。
「Cちゃ〜ん、フ〜ドコ〜ト〜、私達も行く〜」
のんびりと告げる二ツ山恵瑠。
バッとイーちゃんを見るとキョトンとしながら言う。
「2人でって訳じゃないよね?皆にも見られてたし、そういう事かと思ったんだけど」
う、うぅうー…後ろから丸見えだったぁ…
出来ればまずはイーちゃんとかエルちゃんだけに相談したかったなぁ…
私以外の5人に背中を押され教室を後にする。
そのまま世一伊良、二ツ山恵瑠、四方愛、五鹿優、六反園茶々の5人に囲まれながら、駅前のフードコートへと向かうのであった。
…
各々、クレープ、パフェ、アイス、丼物と好きな物を注文して6人がけテーブルのソファに着いた。
私は今回の議題の中心なので真ん中だった。
「じゃ、話をしよ」
きっぱりと口火を切ったのは私の反対左斜め側に座る愛ちゃんだった。
「そもそもさー、なんでCの参加が確定なのか知りたいんだけどー」
続けて私の左横に座り、パフェを突きながら茶々(ティー)ちゃんが突っ込んで言う。
「ん…」
反対右斜め側に座った優ちゃんが短く頷く。
「でも〜…最近はお誘いも断るの大変だったですし〜…丁度良いタイミングかも〜?私達がどう3:3で分かれるか決めないとだけど〜」
私の右横に座る恵瑠ちゃんが穏やかな笑顔を携えて言う。
「まぁ、色々と思う所もあるかも知れないけど、先ずはCの意見を聞いてみようか」
正反対に座る伊良ちゃんが一通りみんなの発言を待ってから私に発言権を与える。
「あの…、あの…ね?」
フードコートまでの道のりで上手く伝えなきゃ、イーちゃんだけじゃないからどうすれば、と悩んだ結果…
何も纏まらずに席に着いてしまい、目が泳ぎながら髪をクルクルイジイジして言葉に詰まってしまう。
「え…何よ、その反応…可愛いんだけど…」
アイが思わずといった感じにつぶやく。
途端に自分勝手にA君と一緒が良いと思って行動してしまった自分を恥じて顔が赤くなり、俯き手で顔を隠す。
「え、えー?なに?まーじーで、そういう事なん!?」
「あらぁ〜…」
「…」
どんどん顔が火照るのが分かり、なおさら顔があげられなくなっていく。
その間もCの反応が更に面白楽しくなり、ティーちゃんやアイちゃん、エルちゃんが思わぬ恋バナにやんややんやと話し出す。
「み、みんな、少し待つんだ。そんな矢継ぎ早に言っては」
イーの言葉を遮りアイが言う。
「でも、仕方ないじゃん。てっきりあいつ等なら無害だからとか、そんな話かと思ったら…まさかの恋バナよ。しかも可愛い反応するし。見なよ、ユウなんか固まってる」
「…」
うわぁああ!こんな形でバレたくなかったぁああ!
「それで?なんでケーよ?別にあいつも悪い奴じゃないけど、趣味に生きて趣味に死ぬような奴よ?」
「ケーはなぁー…見た目と性格良くてもあれじゃなー。友達以上にはなる気がしないなー。それにCに相応しくないー」
「ん〜…ケー君なのかしら…私はA君だと思ってたけど〜」
その発言で更に過熱する恋バナ。
そんな中でアイが言う。
「いやいや、AはCとあんまり話してないっしょ?それにCだって最近は…」
そこまで言ってアイはCを見やると、手の隙間から潤んだ目で上目遣いをし、自身を見ている事に気付く。
まさかの相手、まさかの色香に衝撃を受け、アイは指を差しパクパクと声にならない声を上げる。
周りもそれに気付き、1人エルだけは頬に手を添え「あらあら…」と言うのであった。
…
少し間をおき、未だ赤い顔と耳のままCがぽつりぽつりと話し出す。
「き、きっかけはまだ言いたくない…で、でも、4月に話して、やっぱり良いなぁって、なって…じ、実はGW前に一緒に映画見に行ったりしてたんだけど…クラスで噂になってたし、そういうの迷惑かけちゃうし…だから控えてたんだけど、やっぱり行事は一緒に楽しみたいし…」
顔の前で両手を交差させ隠しながら、たどたどしく話すC。
何故か一緒に恥ずかしくなり腰や足をモジモジしだすアイ。
少し仏頂面になりながらパフェのコーンフレークを潰すティー。
ユウは驚きすぎて固まったまま、口を開きヨダレがたれ、およそ可愛らしい少女がしてはいけない顔面になっている。
それを優しく拭いてあげながら笑顔のまま話を静かに聞く恵瑠。
目を閉じ腕を組み、うんうん、と真面目に聞くイー。
この6人がけテーブルだけを切り取り見たなら、何をやっているのか?、と怪訝な顔をされるに違いない状況だった。
「よ、よし。一先ず、これで理由は判明したね…次はグループ分けだ。若干1名、凄い状態なのはどうしようか悩んでるけど」
「こんな状態になるとは…ほらユウ、そろそろ戻って来なよ」
イーの発言で周りも少し落ち着き、アイが手を伸ばしユウの肩を、ガクガク揺する。
首がカクカク揺れ、開いた口からヨダレが再度溢れたところで意識を戻したユウ。
「んっ!」
グッと親指を立て、ヨダレを拭う様は中々に酷い様であったが、みな、そこには触れずに話を続ける。
「じゃぁ、半々に分かれないとだけど、希望ある?」
イーは周りを見回しながら言うとエルが発言する。
「じゃぁ〜、私は〜ユウちゃんと~」
「うん!」
エルとユウがまず決まる。
ユウは元気に頷いて親子丼を頬張る。
「あたしはCと一緒が良いかなー」
「それなら私も一緒で。ティーがCの邪魔しないようにする」
「はぁー?あたしがなんで邪魔するってアイは思うんですかー?」
「ティー、自分じゃ気付いてない辺り重症だろ」
2人は自分のアイス、パフェを突きながら、違う、違わない、と交互に言い合う。
「じゃ、じゃぁ、私はユウとエルと一緒だね。こっちは男子グループをどこと一緒にするかを後で決めないとね。他に全員で何か決めとく事ってあるかな?」
「そりゃぁ、林間でどうしたいかで変わるっしょ。Cはどこまで進展させたいん?」
前のり気味にCに先を促し、楽しげなアイ。
「ど、どこまでってアイ、そんな事…わ、私は一緒に林間楽しめれば、それで…」
「甘い!C、こういうイベントは男女の仲がぐっと近付くボーナスタイムだよ!」
「アイが言うのって少女マンガ知識でしょー?そもそも、AがCに相応しいと思わないんだけどー」
「ティーだって付き合った経験ないくせに!そもそも相応しいかどうかじゃないでしょ!」
「はぁー?付き合ってないからって別に恋愛経験値が低いとは限りませんがー?Cだったらもっと上狙えるし、相応しくないのは事実でしょー?」
「2人とも、落ち着きなって。私もこういうことには詳しくないけどさ。アイとティーが暴走し過ぎないようにCも目標や方針は決めておこうか」
イーちゃんの言葉に林間での予定を思い浮かべ…
「出来れば…BBQであ〜んとか、手を繋いで自由時間に湖のハイキング…雰囲気が盛り上がった流れでキャンプファイヤーでキ、キス、とか…」
「詰め込めるだけ詰め込んできたよ、この子は…」
Cの目標にアイがじとーっとした視線を向ける。
「い、良いじゃん!目標なんだし!」
「Cに相応しいか相応しくないか明日以降も、当日も、見極めてやる…ぜったい、ぜったい、駄目男って判断したら、Cが好きでも許さないかんねー!」
皆でわいわいと林間に思いを馳せながら、姦しく恋バナ、流行りの曲、アクセサリー、キャラグッズと話題は代わる代わる、戻ったりしながら楽しげに話す6人だった。
こういうキャピキャピ(死後?)したのって見てて好き。
気付いたらいつもより長文に。
これにて林間前の描写が終わりとなります。