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3:A画を見るCさん side C

side Cさん


学校終わっちゃったー…

ど、どうしよ…周りの友達が居なくなったらとか、A君が休み時間に移動とか、様子伺ってたら放課後だよー…

早く言わないといつもの如くA君帰っちゃう…


ちらっとA君を…

「うへ、うへへ…」


え、なんか滅茶苦茶ニヤけてる…ちょいキモオタ味出てんですけど…うける。

A君、自分の世界にトリップして声漏れちゃってるの気付いてないんだろうなぁ…


あざといギャルは閃いた!

トリップ中に声をかけて、いつものようにボディータッチ、からの怒涛の攻撃!

A君なら思考が鈍る!そこで畳み掛ける!


やるっきゃないわ!カップルシートで映画予約もしちゃったんだから!

高校生はお小遣い大変なの、行かないなんて勿体ない!そう、そうよ!奮い立たせるのよ!


「A君!暇でしょ!放課後付き合ってよ!」

「へへ…」

よし、目標、トリップ継続により応答なし!

そこ、よぉ!


腕を引き、トリップ中のA君を現実に引き戻す。


「A君!き、い、て、ま、すー?」

「うわぁ!!Cさん!?て、ててて、手!」


ボディータッチ作戦、成功!

次はA君が焦りから思考鈍化のデバフ中に、駄目押しで良心に訴えかけ!


「ニヤケ面で私を無視したからですー」

あ…手、握られて恥ずかしがってる…可愛い…


「ご、ごめんって!だから、手を離して!」

謝罪頂きましたぁ!今よ!


「じゃぁー…無視したお詫びで放課後付き合ってくれるなら手を離してあげる!」

「わ、分かったから手を…!そ、それで何するの?」


キタワァ!謝罪からのお詫びコンボ!

これでA君は申し訳なさそうに付いてくるわ!


「ナイショ!ふふ!」

あー!A君の反応、楽しぃ…!

映画館でどうなっちゃうのかも楽しみ!



A君を連れて映画館へ到着!

さて、まだまだ作品もシートについてもバレないように…


「あ、Aくん、はい!」

「な、何故イヤホン?」

「作品(と席)はーお楽しみに!分かっちゃうかも知れないけど考えないでね!来るまでの間も黙ってた訳だし!」


折角のサプライズ!ここでバレては詰まらない!


「い、イヤホンCさんので、い、良いの?」


そんな事、気にしてなかったなー。

イヤホンの貸し借りとかちょくちょくやってる、し…

「んー?え!?もしかして汚い!?」


え、もしかして、私のイヤホン汚すぎ!?

うそ!綺麗に使ってるし!?

そ、それとも、他人のイヤホン汚い系!?


「あ、そ、そうじゃなくって!ぼ、僕が使って嫌じゃない?って事です…」


こ、怖ぁ…

これで私のイヤホン汚いとか言われてたら心折れちゃってたって…


な、なんかA君に気にされたら、私まで気になりだして恥ずかしくなってきちゃったじゃないのよ…

全くもう…

でも、変に恥ずかしがってたらサプライズできないし…

緊張で手が寂しくていつもの癖で髪を触る。


なんとか平静を装いましょう…

「問題あり…ません!そこは気にしてたら貸さないって!もう…」


って!A君、凄いイヤホン見つめてる!

折角、落ち着いてきたのに!

恥ずかしさで逃げ出したくなる前にさっさと入れちゃわないと!

「い、イヤホンをまじまじと見られるのは、そのー…もう、嫌じゃないならさっさと入れる!」


「あふ、ぁ…」


A君の耳にイヤホン入れたら、漏れるように艶のある声が…うずうずしちゃうなぁ…

こっちも少し恥ずかしいけど…いたずら心が擽られる。


「刺激が強くて感じちゃった?」

イヤホンをもう片方に入れた後に耳元で囁いてみる。


…あ、A君の反応がなくなっちゃったわ…


仕方ないわね…

イヤホンから作業用で聞くクラシックを流し…今のうちに手を引いて券の発行しちゃいましょう。

予約済みなのも今なら気付かれないでしょうしね。


無事に発券も終わり入場も済ませ、心ここにあらずのA君とシアターまで到着。

そろそろA君の魂を体に戻してあげないと…


大声にならないよう、かつA君にはしっかりと聞こえるように耳の近くで声を出す。

「はい!とうちゃーく!ほい、イヤホン回収!」

「んぁ!」


イヤホンを耳に入れた時もそうだけど、A君、耳が敏感なのかな?

でもここはシアター内…嬌声のように聞こえるいかがわしい声を出したら人に見られちゃう。


「お客様ー?館内で大きなお声は出さないで下さいね?」

そう言いつつ、シーっとA君に向かって口の前で人差し指を立てる。

ここからがお楽しみ、なんだしね!


「ほらほら、席行こ!席位置は真ん中後ろ寄り!」

「え、ちょ、ちょっと待って!こ、これ!?」

どもりながらも周りの座席を見ながら言うA君。

流石に気づいちゃうかー。

では、本日のサプラーイズ!


「カップルシート、でーす!周りから見えないよう囲われてますよ!」


「し、Cさん!か、かかか、カップルシート!?」

凄いガクガクしだして言葉も途切れ途切れ。

ふふ!これです!これ!この反応!


「A君、おもしろい顔してるよー?別にカップルだけで利用する人ばっかりじゃないしー。それとも…何か、しちゃう?」


あばばばばば…!?と赤面して手を振り首を振り、慌てふためくA君。

見てるだけで面白い、けどー…


「ほらほら!座ーりましょっ!」

ブンブンしている手を引っ張らりシートにグイっと…

あ、あらら?思ったより、軽く…

ち、力入れて引っ張っちゃったからバランス崩れちゃ…!

A君も引っ張られたままくっついて来てる!


お互いにシートに体を横たえる様に倒れ込む。


ど、どうしよう…顔、近いし…

そ、それにか、体もぴったり被さるように…

か、カップルシートで上映前からいちゃついてる感じに…


「あ…ご、ごめん…」

さ、流石に自分から腕絡めるのと違って、不意に密着すると…は、恥ずかしい…

声も少し震えてか細くなっちゃった…

A君も顔真っ赤にして、もじもじ手足動かして…


「ひゃっ、あっ、んっ…ちょ、そんなゆっくり…擦らないで…」

「うわぁ!?ご、ごめん!?」


わ、わざとじゃないんだろうけど、重なる状態で手足をもじもじ動かされて、流石に変な声出ちゃったよ…!

く、くすぐったい以外の感覚もあったし…

どうしよう…こんな状況で映画とか落ち着いて見られない…絶対、A君の方、ちらちら見ちゃうって…


上映までの待ち時間、殆ど会話等もせず時折目があい、お互いに視線を外してしまった。

上映が始まっても映画に意識を持って行けず、横にいるA君に意識が引っ張られてしまった。


映画は終わり、ロビーへ戻りながら考える。


ど、どうしよう、映画も全然記憶に残ってないくらいにA君をちらちら見ちゃったし、お互いにあれから何も話せてない…

折角、A君と映画来られたのに…


「Cさん、あの、映画面白かったね。そろそろ、帰ろっか」


A君が先んじて少し気恥ずかしそうに喋りかけてくれた…

一緒に映画の話題とか、この後も諸々喋りたかったけど、私も今の状況だと顔が赤くなって意識しまくりになっちゃいそうだし…

でも、折角の一緒の映画だし…記念で何か…


どうしよう悩んでる内に…A君の顔が困り顔になってきてる気がする…何か…


そうだ!記念写真!初めての放課後の映画デート!

少しの間だけ、いつもみたいに腕を掴んで撮影!

そしたら、今日はA君に合わせて解散の流れに持っていけば良いよね!


「…」

深呼吸…吐いてー吸ってー…本日最後…やれる…!

よし!行くよ!度胸よ、度胸!


「A君、はいチーズ!」

「え、うわ!?チーズ!?」


ちょ、ちょっとぎこちない気もするけど、れ、連続撮影で…

正直、スマホを掲げて持つ手が震えて来てるし…!

でも出来ればA君の笑顔の写真も欲しい…

ふ、踏ん張りどころ!


「ほらほらー、にっこりにっこり!」

む、胸の位置まで抱えればしっかりと二人の写真も取れるし!頑張れ私!


「Cさん、む、腕、腕ぇ!」


しっかりと撮影が終わり、そのまま帰宅の流れで駅でバイバイ、と別れた私とA君。


少しぽ~っとしながら自宅まで到着し、玄関を開ける。


「お帰りなさい、Cちゃん」

ママが帰ってきた私に声をかける。


「ただいま~…」

「あら?いつもより声に元気が無いわね?何かあった…?」

「うぅん…映画行ってきて…ちょっと気疲れしちゃっただけ〜…部屋いる〜」

「そ、そう…?」


ママは少し悩ましそうに見ていたけど、私も特に答えず2階の自室に入り、ベッドに寝転ぶ。

両目の上に右腕を置き、視界を真っ暗にして今日の出来事を思い返す。


話題の映画は殆ど記憶に残ってないけど、きょ、今日は濃密な放課後だったなぁ…

ちょっと恥ずかしかった所もあったけど、A君との初映画は良い感じで成功、よね?


ふぅ、と息を吐き、スマホで映画館で撮影した最後の写真を見ていく。


連続撮影だったので何枚もあったが、様々なA君の表情、身振り手振りを残していた。

写真はA君の笑顔とまでは言えないものの、記念撮影としては大変良いものばかり。


「ふふ…!全部、お気に入りA君フォルダ行き!」


ママに夕飯の手伝いで呼ばれる30分後まで、A君と自分の写った写真を眺め、出来事を振り返りニヤけるのであった。

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