13:A君、CさんにBanされる
土曜日にオーケーコンビと買い物へ行き、毎日のジム通いが決まっての日曜日、午前中。
Aは少し筋肉痛に悩まされながら、ジムへ向かう。
オー君は予定があるからと今日は無し、ケー君は後から行くとの事だった。
ジムの扉を開くと六実さんの声がかかる。
「あらー!昨日の今日でもう来ちゃったの!どう、私の作った疲労回復プロテイン、ド☆リ☆ン☆ク」
まだその勢いに圧倒され、足が後ろにでながらAは答える。
「え、えぇ、美味しく飲めましたし、少しの筋肉痛で済んでます…教えてもらったマッサージも効いたと思います。今日から筋肉育成メニューを母にお願いしたので、それの効果も出るかもしれません」
その言葉を聞くと強面筋肉の六実が嬉しそうに言う。
「そうでしょー!?あのプロテインドリンクは私が端正込めて作った、筋肉の筋肉による筋肉のためのプロテインドリンク!そ、れ、に、筋肉ちゃんを労るマッサージに栄養!愛を持って筋肉ちゃんに奉仕する事で、私達に筋肉ちゃんが答えるのよ!」
そこで言葉を区切り改めてAを見る六実が言う。
「た、だ?今日は、無理は禁物ね!まだ筋肉ちゃんがビックリしてるわ!今日は筋肉が強張らない程度のトレーニングにしましょ!若いから回復も筋肉成長も早いけど、無理は筋肉ちゃんも痛がるし、嫌がるもの!そんな関係、長く続かないわ」
ウインクされて背筋がゾワゾワっとしたAは六実に、着替えてきます、と伝え更衣室に向かいウェアに着換える。
そして2時間程、他に人がいないから、と六実の指導の元で軽くストレッチやランニングを行った。
少し時間が経過し、Aが休んでいるとケーがジムにやってきてAに声をかける。
「A、もう大分やってる感じだね。どう?体は辛くない?」
Aは休憩中の今も汗が滴るのをタオルで拭いながら答える。
「うん、少しだけ筋肉痛だったからストレッチやランニング、器具なしの軽い筋トレだけだよ。六実さんが人いないからってマンツーマンで教えてくれた」
その言葉にケーは周りを見回し言う。
「あー、今の時間帯だとここ人少ないんだよな。平日の18時頃だと多いんだけど、土日は家族サービスや自分を労る日って人が多いんだ。利用客の人も昨日軽く挨拶しただけだけど、良い人多いよ」
「そうなんだ。僕は暫く休んでまた軽くストレッチと筋肉痛じゃない部分筋トレ、その後シャワー浴びてって予定。ケー君はどうする?」
「そうだな…俺は重めに負荷かけたら今日は終わらせようかな。Aを待たせるのもだけど、前から続けてるから追い込みしなくても良いし、平日はAにも付き合う予定だしな」
その言葉を受け、Aが答える。
「分かった。その後に一緒にお昼でいつものファミレス行こっか」
そこで会話を終わらせ、二人は思い思いのトレーニングを六実さんに追加で行ってもらい、休憩に六実ドリンクを飲み、シャワーを浴びてファミレスへ向かった。
ファミレスでAとケーはそれぞれドリンクバーで飲み物を入れ、昼食を食べる。
Aが気になっていた相談事をスマホの画面を見せながら言う。
「ねぇ、ケー君、気になってたんだけどさ…wire、Cさんに送るとエラー出るんだ…何度やっても再送信になって…余り使った事ないから調べてみても良く分からなくて。みんなには送れるんだけど、分かる…?」
ケーは答え辛そうにその解答を告げる。
「A、それは…サイレントBanだ。wireにはBanリストに入れられると、個別チャットできなくなるんだ…林間の時に送った個チャが既読になってないで再送信になってる…って事は直ぐにサイレントBanされたって事だ…」
ケーからの解答に顔を青ざめながらも、気丈に笑みを浮かべ答える。
「そ、そっか…ま、まぁ、あんな醜態でCさんを傷付けちゃったし…そう、だよね…」
Aが無理して笑みを作っているのを見て取れたケーは元気に声を張り上げる。
「い、今は仕方ないと割り切るぞ、A!徐々に六実さん指導の元で筋肉付けながら、他にも色々と試して行く!緊張しすぎないように自信を付けていくんだ!今のままだと悪化するかもしれないから変わるんだろ、A!俺やここにはいないオーもいる!一緒に頑張ろうぜ!」
Aも未だ顔は暗いながらも声を上げ、ケーに答える。
「う、うん。今のままじゃ、駄目なまま逃げる道を選んじゃうからね…僕は変わりたい…変わるんだ…!」
相談事を終え、明日からの学校生活でAとケーは話し合う。
「それで明日から通常の学校に戻る訳だけど…A、余りCさんの方を見ないようにな…こういう時に下手に煮え切らない態度をすると関係が悪化しかねない。しっかりと謝れる時に謝るのが1番だ。余り刺したくないが、Aも昔、謝られても信用できなかっただろ?やらかした後の謝罪は、しっかりと理由話せて、相手も許す気になってる時じゃないと聞き入れられないからな。今じゃない…」
少し言葉に棘があるように感じるAだが、事実であると受け止め、返事をする。
「うん、その通りだね…僕も信用なんてできなかったし聞く耳持たず。結果、逃げを選んで疎遠になった。あの時みたいな事を、今度は僕がやったんだね…暫くはCさんが落ち着いたとケー君が思えるまでは辞めておく…」
その言葉にケーは内心で、直後のCの反応に不安を感じながらもAを更に元気付けようと来週の予定を告げる。
「そ、それもあるが、だ!来週は予約しておいた美容室に俺とAで行くぞ!少しずつ、前のAと変えてCと仲直りまで進んでいこうぜ」
こうして、その後は美容室の話から、Aもワックスを使おう、運動後の香水はしっかりと汗拭いた後に使えよ?、と雑談に移行。
ファミレスでの雑談は夕暮れまで続いたのだった。




